インド洋の反対側まで届いた「クラカタウ火山」の噴火音がスゴすぎる…「北海道で起きた噴火が沖縄で聞こえる!」より、まだ遠い…

AI要約

1883年の8月26日に発生した、インドネシアのクラカタウ火山での大噴火。死者が3万6000人を超え、クラカタウ島の地形までが変わる大惨事となった。

噴火音が4800キロメートル離れたロドリゲス島まで届き、世界記録とされる自然音の到達距離を記録。さまざまな遠隔地でも噴火音が捉えられた。

クラカタウ火山の噴火音は想像を絶する爆音で、バタヴィアでは音圧170デシベルを記録。激烈音にさらされた船乗りの半数が鼓膜を破る事態に至った。

インド洋の反対側まで届いた「クラカタウ火山」の噴火音がスゴすぎる…「北海道で起きた噴火が沖縄で聞こえる!」より、まだ遠い…

1883年の8月26日に発生した、インドネシアのクラカタウ火山での大噴火。前回の記事では、その模様のあらましを解説しました。死者が3万6000人を超え、クラカタウ島の地形までが変わってしまうという大きな噴火でしたが、その規模を語るのはそればかりではありません。

*本記事は『インド洋 日本の気候を支配する謎の大海』の内容を再構成したものです。

なんと4800キロメートルも離れたロドリゲス島(当時はイギリス領)まで噴火音が届いたというから驚きです。そのときのロドリゲス島の警察本部長が几帳面で職務に熱心な人だったとみられ、勤務日誌に「夜間(8月26日から27日にかけて)数回、遠くで重砲が 轟(とどろ)くような音が東の方向から聞こえる。音は3~4時間おきに27日の午後3時になるまで続いた」と、貴重な記録を残してくれたのです。

このときのクラカタウ火山の噴火音は、歴史時代を通じて、世界最大の自然音だったかもしれません。空中を伝わった自然音の到達距離として、4800キロメートルは世界最長記録とされています。

ロドリゲス島のほかにも、さまざまな場所で、噴火の轟音がキャッチされました。それらをまとめたのが、図「1883年のクラカタウ火山の噴火音の到達範囲」です。ディエゴ・ガルシア島(英領チャゴス諸島)、スリランカ、オーストラリア、フィリピンなど、インド洋から西太平洋沿岸にいたるまで多数の遠隔地が含まれています。

クラカタウ火山から、約150キロメートル離れたバタヴィアで聞こえた噴火音の大きさ(音圧)は、気圧計の記録(噴火による衝撃波のため、瞬間的に気圧が上昇した)から約170デシベルと推定されています。この数字だけではピンときませんが、電車の通るガード下で100デシベル、飛行機の爆音がその10倍の120デシベルで、170デシベルはそのさらに数百倍の音に相当します。まさに想像を絶する爆音です。

クラカタウ火山からわずか数十キロメートルのスンダ海峡を航行中だったイギリス船「ノラム・キャッスル」号は、なんとも悲惨でした。凄まじい激烈音に襲われた乗船者のなんと半数が、鼓膜を破られてしまったというのです。