「史上初」だらけの2024年後期宇宙計画と、NASA予算削減で抹消されるプロジェクト

AI要約

2024年後半に向けてさまざまな宇宙プロジェクトが展開中。ボーイング社のCST-100スターライナーの問題や民間人ミッションの遅延など、予定が影響を受けている。

民間人4名が地球周回軌道を旅する商業ミッションや、ビリオネア4名がISSに滞在するアクシオム・ミッション4など、宇宙飛行の新たな試みが続々と行われる予定。

成層圏バルーンのネプチューンも2025年まで延期されそうだが、2024年後半の宇宙競争は一層加熱しそうだ。

「史上初」だらけの2024年後期宇宙計画と、NASA予算削減で抹消されるプロジェクト

民間による月面着陸や新型ロケットのデビューなど、多種多様な宇宙プロジェクトが速いペースで展開しているが、この傾向は2024年後半もさらに続く。そこで年内に予定される主なスケジュールをまとめてみた。どんな歴史が生まれ、どんな「史上初」が成し遂げられるのか? NASAの予算削減によって窮地にあるプロジェクトにも言及したい。

※当記事における日付はすべて日本時間。予定は変更される可能性があります

■スターライナー問題の余波

ボーイング社の新型宇宙船「CST-100スターライナー」の帰還問題が、2024年後半のスケジュールに少なからず影響している。

スターライナーは初の有人テスト飛行として6月5日に打ち上げられたが、ISS(国際宇宙ステーション)へ向かう途中、機械船からヘリウムガスが漏洩し、スラスター(姿勢制御装置)にも不具合が発生。当初8日間が予定されていたミッションだったが、2カ月が過ぎた今もクルー2名はISSに留まっている。この事案によって、8月に予定されていたクルー9(第72次長期滞在ミッション)の打ち上げは9月24日に変更されている。

また、7月12日にはスターリンク衛星の打ち上げに際して、ファルコン9の第2段エンジンが再点火されず、軌道投入に失敗するという事故も発生した。その結果、2週間に渡って同機の打ち上げが停止されている。

■民間人ミッションと成層圏バルーン

スターライナーとファルコン9の事案によって「ポラリス・ドーン」の打ち上げが遅延している。これはクルードラゴンをチャーターした民間人4名が地球周回軌道を旅する商業ミッションだ。民間人2名による宇宙遊泳も予定され、これが実現すれば史上初となる。7月に予定されていた打ち上げは8月26日以降に再設定されている。

クルードラゴンを利用した民間宇宙飛行は、さらに2件予定されている。そのひとつ「アクシオム・ミッション4」では、民間のビリオネア(超お金持ち)4名がISSに約1週間滞在する。打ち上げは10月に予定。

もうひとつの「フラム2」は、暗号通貨関連事業で財を成した起業家チュン・ワン氏による計画。ヒトが搭乗した宇宙船が史上はじめて極軌道(地球を南北に周回する軌道)に投入される。2024年後半以降にケネディ宇宙センターから打ち上げられる予定だ。

また、高度30kmを遊覧する成層圏バルーン「ネプチューン」(英国パースペクティブ社)は2024年内に営業を開始する予定だったが、試験飛行の遅延のため2025年に延期されそうだ。