レールはどのようにして発明されたのか…16世紀には発明されていたレール

AI要約

鉄道の起源について、諸説がある中で有力な「轍(わだち)」説を紹介。

車輪の台車が地面にできる轍を避けるためにレールを敷く必要性が生まれた経緯。

16世紀には木のレールが使われ、その後鉄のレールが登場した。

車輪の発明が陸上輸送に与えた影響や、轍ができることが引き起こす問題点について解説。

レールの導入により、車輪の通過がスムーズになり、効率的な輸送が可能になった。

木から鉄へと進化したレールの利点や弱点、鉄の利用が広まる背景などについて説明。

鉄のレールは丈夫で変形しにくく、効率的な輸送を実現した。

レールはどのようにして発明されたのか…16世紀には発明されていたレール

乗り鉄、撮り鉄、駅鉄、時刻表鉄など、さまざまな楽しみ方がある「鉄道」追究すればするほど、新たな側面が見えてきて、「鉄道」の魅力には限りがありません。歴史、技術、鉄道の種類、高速鉄道、運用のしくみ……。車両や線路だけでなく、運用のメカニズムまで徹底的に解説した『最新図解 鉄道の科学 車両・線路・運用のメカニズム』(ブルーバックス)から、特におすすめのトピックを紹介していきます。

今回は、意外と知らない「レールの発明」について解説していきます。

※この記事は、『最新図解 鉄道の科学』の内容を再構成・再編集してお届けします。

さて、「起源から現在に至るまでの歴史」を知るうえでは、「鉄道の起源」が気になりますが、これには諸説あります。紀元前3000年ごろのメソポタミア文明の時代に車輪が発明されたことが、のちに鉄道の誕生につながったことは確かなのですが、それから現在に至るまでの経緯が明確にわかっていないのです。

そこで本書では、現時点で有力とされる説の一つをご紹介します。その説のキーワードは「轍(わだち)」です。

車輪をつけた車両は、のちに馬がけん引する馬車となり、陸上における輸送を大きく変えました。このため車輪の発明は、人類史上でとくに重要なものとされています。

車両が地面の上を走ると、轍ができます(図)。轍とは車輪が通った跡のことで、車輪にかかる荷重が大きくなる、もしくは地面が軟らかいと深く刻み込まれます。

このため、車両が何度も通過すると、多くの轍が刻まれて地面の凹凸が激しくなり、車輪が通過しにくくなります。また、雨が降って地面が軟らかくなると、車輪が深く沈み込み、動けなくなることもあります。

そこで人類は、轍ができるのを避けるためにレールを敷き、その上で車輪を転がすしくみを考えました。

人類がレールを発明した時期は定かではありませんが、16世紀には、ドイツやイギリスの炭鉱で木のレールが使われていました(写真上)。これは、木製車輪をつけたトロッコを走らせるためのもので、炭鉱で採掘した石炭を運搬するために使われていました。

木には、金属よりも入手や加工が容易で、軽いという利点があります。その反面、劣化しやすく、大きな荷重に耐えられないという弱点があります。

そこで人類は、木の代わりに鉄を利用するようになりました(写真下)。鉄は、木よりも丈夫で変形しにくい材料であるだけでなく、手に入りやすい金属材料だったからです。実際にイギリスの鉱山では、1750年代から鉄の車輪とレールが使われていました。