科学が教える「蚊よけ」のコツ 服の色からおすすめの虫よけ剤、蚊に好かれる人の原因まで

AI要約

夏に活発化する蚊の脅威と、蚊に刺されないための対策について解説。

蚊が人を狙う理由や、DEETという効果的な虫よけ剤について詳細に紹介。

一般的な虫よけの効果や注意点についても言及。

科学が教える「蚊よけ」のコツ 服の色からおすすめの虫よけ剤、蚊に好かれる人の原因まで

 本格的な夏が到来し、この季節のあらゆるものに勇敢に立ち向かうときが来た――おなかをすかせた蚊も例外ではない。

 耳障りな羽音を立て、刺されるとかゆい蚊は、夏の最も恐ろしい脅威のひとつでもある。通常、蚊に刺されても不快なだけだが、この悪名高い昆虫はマラリアやジカ熱、デング熱など、命に関わる病気を媒介する可能性がある。炎症やじんましん、吐き気などの深刻な症状を引き起こす場合もある。

 しかも、人の活動やそれに起因する気候変動の結果、新たな地域に進出している蚊もいる。このため、蚊との接触に注意することがますます重要になっている。

 幸い、ある種の蚊が人に寄ってくる理由やそれらの蚊を撃退する方法について、研究が大きく進んでいる。ここでは、自宅でも外出先でも蚊に刺されないための実践的なヒントを紹介しよう。

 まず、この吸血昆虫について、そして、そもそもなぜ一部の種は人を狙うかについて、少し理解しておこう。

「約3500種の蚊がいますが、人にとって重大な問題になる種はごくわずかです」と語るのは、米ラトガース大学教授でダニや蚊の研究に取り組む分子生態学者のディナ・フォンセカ氏だ。フォンセカ氏はメール取材に対し、「哺乳類、爬虫類、鳥類など、蚊の種によって好みが異なります」と述べている。ヒルの血を吸う蚊もいるそうだ。

 人の血を吸うように進化した蚊は、人の体温や人が吐き出す二酸化炭素を感知し、体臭に基づいて好みの宿主を選んでいる。もしあなたが蚊にいつも狙われているように感じているとしても、それは決しておかしなことではない。蚊にとっていいにおいがする人とそうでない人がいるだけだ。もし蚊の大好物だという自覚があるのなら、念入りに対策したほうがいいだろう。

 皮膚に塗る虫よけに関しては、DEET(ディート、N,N-ジエチル-m-トルアミド)という化学物質を含む製品に勝るものはない。DEETは蚊、ダニ、ノミ、ヒルなど、多くの昆虫に効果がある(編注:DEETは日本でも使用が認められている)。

「DEETはほとんどのにおい受容体を覆い、蚊を『においがわからない』状態にするうえ、その効果が長く続きます。そのため、今でも虫よけの絶対的存在です」とフォンセカ氏は説明する。効果の持続時間はDEETの濃度に比例するため、製品ラベルで確認してほしい。

 DEETは、製品の説明書に従って塗布する限り、子どもにも安全に使用できる。ただし、体内に摂取すると死に至る危険があるため、DEET入りの製品を吸い込んだり、飲み込んだりしてはいけない。

 まれに、DEET入りの製品を使用した後、発疹やかゆみなどの皮膚反応が出ることがある。米環境保護庁(EPA)のガイドラインには、反応が出た場合、「製品の使用を中止し、製品を塗布した皮膚を洗い、最寄りの中毒情報センターまたは医師に相談する」べきだと書かれている(編注:日本でも「用法・用量に関連する注意」として、漠然な使用を避けること、具合が悪くなった場合は医師の診療を受けることなどを厚生労働省が定めている)。

 レモンユーカリオイルやシトロネラなど、一般的な虫よけも効果的だ。しかし、どの虫よけも体臭と混じり合うため、いろいろな製品を試し、自分に最適なものを見つけるようにしよう。