BMWのコピーライターが「ChatGPT」を駆使して、逆に分かった「人間にしかできないこと」…AI時代の「生き残り戦略」を考えてみた

AI要約

中村ブラウンさんがコピーライターとしての経験から、生成AIとの比較を通じて伝わるコピーワークの重要性を語っています。

彼が指摘するのは、ターゲットを理解し、商品の魅力を伝えることの難しさであり、その点で生成AIの利点を認めつつも、コピーライターとしての長年の経験を思い知らされると述べています。

また、コピーライティングの要はターゲットに商品をアピールする方法を探ることであり、生成AIがターゲット分析を瞬時に提供する一方で、その簡便さに嫉妬する自分を語っています。

BMWのコピーライターが「ChatGPT」を駆使して、逆に分かった「人間にしかできないこと」…AI時代の「生き残り戦略」を考えてみた

第一線のコピーライターとして時代をリードしてきた中村ブラウンさん。じつは生成AIでは「人の心を動かす」までのコピーワークにはたどり着けずかつ、生成AIは「使いこなせれば便利な道具になる」いいます。

では一体どういうコピーワークをすれば「伝わる」コピーが出来上がるのでしょうか?『ChatGPT売れる文章術』でこう語っています。

20年以上、BMWを売るために試行錯誤してきたコピーライティング術が、ChatGPTなら一瞬でできる!―なんて時代だ!

私は電通グループの広告代理店などでシニアコピーディレクターとして、20年以上にわたってBMWのブランディングを支えてきました。

独立後はオフィスブラウン代表として、BMWを筆頭に、スズキ自動車、三菱自動車、KDDI、富士フイルムなどのマーケティングに関わり、現在は中小企業を中心に広告戦略の立案やクリエイティブを提供しています。

簡単に言いますと、広告・宣伝の中核となるコピーライターとして、さまざまなマーケティング活動の最前線で活躍してきたわけです。そういう私がChatGPTと出会ったのは2023年春頃のことです。

それを使ってみての感想は、はっきり言って、「ふざけるなよ!」という憤りの気持ちでした。ChatGPTの性能が劣っているからではなく、逆にその高性能に対して、約40年に渡るコピーライター人生の苦労が色あせて感じたからです。

具体的に言うと、そもそも広告・宣伝において最も重要なことは、「どのようなターゲットに、どのようにして商品の魅力を伝えるか」にあります。

孫子の言葉に、「彼を知り、己を知れば、百戦殆あやうからず」という言葉がありますが、まさに「ターゲットのことをどこまで理解できるか、自分の魅力をどこまでターゲットに上手く伝えられるか」に掛かってくるわけです。

「ターゲットのことを知る」とは単に性別や年代、年収というものではなく、その人の「ライフスタイルや思考・嗜好など」を検証していくことに他なりません。つまり、そのターゲットの日常という物語を知ることで、「自分の商品がどのようなシーンで役立つのか」を考えることなのです。

広告・宣伝、特にコピーライティングを考えるとき、このターゲット分析が非常に難しいのですが、ChatGPTなら瞬時に答えを出します。

コピーライティング術の要とは、ターゲットに対して「どのように商品をアピールすればいいのか?」という探求なのですが、それがChatGPTなら簡単に答えを出してくれるわけです。

コピーライターとしての長い経験を経た私にとって、ここまであっけらかんと答えを出されると、「嬉しい」という感情より、「怒り」に近い、「嫉妬」とでも言いたい気持ちになってしまいます。

しかし、そんな感情の中で、ある点で、ほくそ笑む自分もいました。