2024年7月の星空情報 はくちょう座χ星が極大

AI要約

夏の夜空には、美しい星々が輝き、特徴的な星座が観察される。

夏の大三角やへびつかい座、さそり座などが観察しやすい。

また、アスクレピオスの杖に象徴されるへび座や、蛇にまつわる神話も興味深い。

2024年7月の星空情報 はくちょう座χ星が極大

7月、梅雨が明ければ季節は間もなく真夏となります。夜も蒸し暑さが残る時期ですが、あでやかな1等星をつなぐように天の川がきらめく、美しい夜空が見られます。

東の空を見上げると、3つの白い1等星がやや細長い三角形を描いています。夏の空の目印である「夏の大三角」です。

大三角の中で1番明るい星が「こと座」のベガです。7月、東の空を正面にして見上げると、最も高い位置にあります。

ベガの南側にある星が「わし座」のアルタイル、北側の星が「はくちょう座」のデネブです。

夏の大三角から低い方へ目を移すと、「へびつかい座」があります。へびつかい座の最も明るい星は2等星のラサルハグェ(蛇を採る者の頭)です。ラサルハグェ、ベガ、アルタイルを結び合わせると、夏の大三角とは線対称の三角形が描けます。

ラサルハグェを頂点とした、将棋の駒に例えられる下方が膨らんだ五角形が、へびつかい座の星の並びです。へびつかい座はギリシャ神話一の名医であるアスクレーピオスが描かれた星座といわれています。

へびつかい座が手に持つのは「へび座」です。へび座はへびつかい座によって頭部・尾部に分断されています。

アスクレピオスが蛇を持っているのは、蛇が薬草を使って死んだ仲間の蛇を生き返らせるところを目にしたことで、蘇生の術を知ったためであるといわれています。

現代においても蛇は医学のシンボルです。蛇が杖に巻き付いた意匠の「アスクレピオスの杖」は世界保健機関(WTO)のマークになっている他に、救急車の車体にも描かれています。

へびつかい座の足元には「さそり座」があります。南の空低いところに浮かぶ赤い1等星アンタレスを中心としたS字カーブが目印です。肉眼で見やすい3等星以上の星が15個もあり、全天でも特に明るく見つけやすい星座です。

さそり座の尾のあたりが天の川の最も濃い部分です。天の川はへびつかい座の東をすりぬけ、夏の大三角を貫いて北の方へと伸びています。南北に架け渡されたアーチのような天の川を見られるのも、7月の星空の醍醐味です。町明かりの少ない、空の澄んだ場所で探してみましょう。