今後の新型コロナワクチン・次世代型の必要性~東京医科大客員教授・濱田篤郎~

AI要約

65歳以上の高齢者を対象にした新型コロナワクチンの定期接種が今年の秋に始まります。JN.1系統のウイルスを使用し、追加接種を受けることで免疫を強化し、重症化や死亡を防ぐことができます。

高齢者以外の人にとっては、追加接種のメリットについては副反応や料金負担を考慮する必要があります。重症化リスクが低い場合は、希望する人が少ないかもしれません。

新型コロナの流行が続く中、世界保健機関はJN.1系統のウイルスを使用した製剤を推奨し、各国での新型コロナワクチンの製造が進められています。

今後の新型コロナワクチン・次世代型の必要性~東京医科大客員教授・濱田篤郎~

 65歳以上の高齢者を対象にした新型コロナワクチンの定期接種が、今年の秋に始まります。これにはmRNAワクチンが主に用いられますが、痛みや発熱などの副反応が頻発することで、接種を見合わせる人も少なくないと思います。新型コロナの流行初期には、その制圧にmRNAワクチンが大きく貢献しましたが、流行が長期化する中で、より副反応の少ない製剤が必要とされています。今回は、秋の定期接種と今後の新型コロナワクチンについて解説します。

 今年4月末、世界保健機関(WHO)は、北半球で秋以降に接種が予定されている新型コロナワクチンの製造に当たり、今まで用いてきたXBB系統ではなく、JN.1系統のウイルスの使用を推奨すると発表しました。JN.1系統は現在流行中のウイルス株であり、それを用いることは医学的に妥当な判断と言えます。米国の食品医薬品局(FDA)も6月上旬、この方針で製造する勧告を出しており、各メーカーはそれに応じた製剤を準備し、秋までに流通させる予定です。

 新型コロナワクチンの接種が開始されて4年目に入りますが、インフルエンザのようにWHOが次の冬の推奨株を発表し、それに応じてメーカーが製造する方式が採られています。

 日本では今年の秋から、65歳以上を対象にした新型コロナワクチンの定期接種が始まります。対象年齢以外の人でも、希望すれば任意で接種を受けることが可能です。このワクチンには、WHOの勧告に従ってJN.1系統のウイルスが使用される予定ですが、接種を受けるメリットはどれだけあるでしょうか。

 新型コロナの流行が始まって5年が経過し、現在までに多くの人がワクチン接種や感染により一定の免疫を獲得しており、発病しても軽い症状で回復するようになりました。一方で、65歳以上の高齢者は重症化することがあり、死亡するケースも見られます。こうした状況になるのを防ぐため、高齢者については年に1回、追加接種を受けて免疫を強化しておくことが推奨されています。

 新型コロナの流行は今年の冬も拡大することが予想されており、その前に追加接種を受けておくことは、高齢者にとってメリットがあると言っていいでしょう。

 では、高齢者以外の人に追加接種はどれだけのメリットがあるでしょうか。接種後の一定期間は感染予防や症状の軽減が期待できますが、接種に伴う痛みや発熱などの副反応が、高頻度に起こることも覚悟しなければなりません。さらに、今年4月からは接種が有料になっており、定期接種は最大7000円ほどですが、任意で受ける場合は、その2倍前後の費用がかかります。

 高齢者であれば重症化するリスクから、副反応や料金負担を考えても希望する人が少なくないと思いますが、それ以外の人は、あまり希望しないのではないでしょうか。