大学発ベンチャー<アクチュアライズ>…ドナー不足・角膜の病気に新しい治療を

AI要約

角膜内皮の病気に対し、移植手術以外の治療法を開発する取り組みが進められている。

角膜移植の需要が高まる中、培養細胞や新薬の研究が行われている。

技術の確立と資金調達が課題であり、バイオベンチャーとしての挑戦が続く。

 移植手術しか治療法がない角膜内皮の病気に対し、点眼薬の開発や再生医療による新しい治療を目指している。国内では年間2000~3000件の角膜移植が行われる一方、ドナー不足で待機患者は数万人に上る。世界では移植を必要とする患者の70人に1人しか、移植を受けられていないのが現状だ。革新的な医療技術への期待は高く、杉岡郁代表取締役社長(66)は「視力障害に苦しむ患者さんに希望の光を届けたい」と意気込む。

 医工連携を進める同志社大の研究力や技術シーズをいかした大学発ベンチャーとして2018年にスタートした。

 難しいとされる角膜内皮細胞の培養技術を確立し、薬のもとになる候補物質(分子)を発見。参天製薬と共同開発を進めているほか、培養細胞と薬剤を注射針で眼内に注入する再生医療の研究も手がける。培養した移植用細胞を凍結し、解凍するだけで使える凍結製剤の開発にも成功した。

 いずれも世界に先駆けたと評価される成果だが、先端研究を手がけるバイオベンチャーは開発期間が長く、投資家の視線は厳しい。実用化までの道のりをつなぐ資金調達が課題となる。