雇用維持対策、前向き 県内視察の岸田首相 雇調金延長要請受け「改善を検討」

AI要約

岸田文雄首相は、能登半島地震の被災事業者の雇用維持に前向きに対応する考えを表明した。

支給日数の延長や液状化被害対策、自民党総裁選の投票先について言及した。

中国広東省深圳で日本人男児が刺され死亡した事件に関して中国側に説明求める考えを示した。

 岸田文雄首相は19日、能登半島地震の被災事業者の雇用を維持へ、前向きに対応する考えを表明した。事業者が「雇用調整助成金(雇調金)」の支給期間・日数を延ばすよう要請したことを受け、「被災地の実情を踏まえ、何を改善していくべきか検討したい」と語った。輪島市、かほく市、内灘町を視察した後、報道陣に答えた。

 岸田首相はこれまで雇調金の要件を緩和し、雇用を保った上で別の企業で働く「在籍型出向」の取り組みを支援してきたと説明。「地元関係者と意思疎通を図り、事業主に寄り添った対応を進める」と語った。支給日数の延長の是非には言及しなかった。

 雇調金を巡っては、県内の中小事業者の間で特例措置で「1年間で300日」とされている支給日数の延長を求める声が上がっている。輪島市内で行われた車座対話で輪島漆器商工業協同組合の日南尚之理事長が「震災前の生産体制に戻るには時間がかかる。従業員や職人の雇用へ、延長をお願いしたい」と求めた。

  ●「地籍調査」へ10月専門家派遣

 液状化被害については、10月中に対策に向けた複数の工法に関する調査結果をかほく市や内灘町に示し、今年中に復興計画を策定できるよう支援する。土地の境界や面積を明確にする「地籍調査」を進めるため、10月に専門家を被災地に派遣する。かほく市役所で油野和一郎市長、内灘町西荒屋小で川口克則町長から被害状況の説明を受けた。

  ●総裁選投票先述べず

 自民党総裁選の投票先については「私自身しっかり判断して1票を決める。現時点で具体的に申し上げることは控える」と述べ、候補者による論争を見守るとした。

 中国広東省深圳で日本人学校に通う男児が刺され死亡した事件を受け、中国側に事実関係の説明を強く要求する考えを示した。「極めて卑劣な犯行で、重大かつ深刻な事案だ。日本人の安全確保と再発防止を求め、日本政府としてできることを全て行う」と語った。

 首相の県入りは7月以来で、震災以降4回目。当初は8月末の視察を予定していたが、台風10号の接近を受けて延期した。