母も子どもも「ここに来れば救われる」を目指して 育児講座や悩み相談続ける女性の思い

AI要約

押栗泰代(おしぐり・やすよ)さんは、母子支援を目的とした任意団体「マイママ・セラピー」を立ち上げ、活動を続けている。

団体は育児未経験の母親をサポートし、育児講座やメール相談事業など様々な支援を提供している。

「ゆりかごタクシー」事業を立ち上げており、出産を控えた妊婦の安全な病院送迎を行っている。

母も子どもも「ここに来れば救われる」を目指して 育児講座や悩み相談続ける女性の思い

 押栗泰代(おしぐり・やすよ)さん(65)は、行政保健師として働いた後、独自の方法で母子支援に取り組もうと2000年に任意団体「マイママ・セラピー」を大津市で設立した。団体名には「母親が抱える育児の悩みや不安を癒やす場になるように」との願いを込めた。11年にNPO法人化して以降も名前を変えずに活動を続けている。

 団体の発足当初より、0歳児を育てる育児未経験の母親を中心に多種多様な悩みに応じてきた。「町の保健室」を目指して、独自のカリキュラムに沿った育児講座や、時間を問わず育児の悩みに答えるメール相談事業を実施。キャリアコンサルタントの資格を生かして育児と仕事の両立を支援し、11年に同市の菱屋町商店街に拠点となる「マイママハウス」を開設した。

 13年からは、助産師による研修を受けたオペレーターやドライバーが、陣痛時や破水時の妊婦を病院まで送り届ける「ゆりかごタクシー」を展開。事業を始めたきっかけは、破水した妊婦は家族が近くにいなかった場合、どうやって病院に行くのかと不安を抱いたことだった。マイママハウスを利用した母親へのアンケートで、陣痛の時に「自分の車で病院に行った」と答えた人がいたことも動機になった。

 県タクシー協会や、県看護協会などに協力を依頼。当初は大津市と草津市、栗東市のみでの運行だったのが、今では県内全自治体に広がり、出産を控えた妊婦のうち約40%が登録するまでになった。県下一丸となった取り組みが評価されて、19年に「地域公共交通優良団体国土交通大臣表彰」を受けた。

 菱屋町商店街の拠点は昨年秋に閉鎖。今は新たな拠点を探している最中で、オンラインでの相談や出張講座に注力している。今後は母子支援だけでなく、高齢者支援や災害時の情報提供にも取り組みたいと将来を見据える。「ここに来れば救われる」。そんな声をさらに増やしていきたいと願っている。