「地震の体験と教訓を伝えたい」列車内で語り継ぐ3人の“語り部” のと鉄道の「語り部列車」が運行開始

AI要約

能登半島地震の被災地の記憶を伝えるため、のと鉄道の「語り部列車」が運行を始めた。震災の記憶や教訓を伝える語り部たちは、被災地での体験や思いを通して乗客に伝えている。

語り部は、岩手県の三陸鉄道からノウハウを学び、被災地の悲しみや勇気を自らの言葉で伝える準備を整えた。

列車の旅の中で、被災地での体験や感情をリアルに語り合うことで、乗客に防災への意識を高めるとともに、災害教訓を後世に伝え続ける。

「地震の体験と教訓を伝えたい」列車内で語り継ぐ3人の“語り部” のと鉄道の「語り部列車」が運行開始

能登半島地震の被災地の記憶を伝えるのと鉄道の「語り部列車」の運行が始まりました。震災の記憶、語り部たちは乗客に何を伝えるのでしょうか。

のと鉄道語り部・宮下左文さん「3人でやっていきますのでよろしくお願いいたします」

のと鉄道の語り部列車は、能登半島地震の風化を防ぎ、災害の教訓を後世に伝えるため16日から運行が始まりました。

最初の乗客は、防災への意識を高めようと愛知県から来た15人の団体です。

■語り部としてのノウハウを吸収 岩手県・三陸鉄道へ「研修」

語り部を担当したのは、のと鉄道の観光列車でアテンダントを務めていた宮下左文さんら3人です。

3人は、「語り部」のノウハウを学ぶため7月、岩手県の三陸鉄道を訪れました。

三陸鉄道は、2011年の東日本大震災で大きな被害を受け、翌年から「震災学習列車」を運行して、地震の教訓を伝えています。

震災学習列車ガイド・千代川らんさん「地域に対する思いも含めて言葉で伝えるということが、一番客にも伝わる」

語り部の3人も奥能登の被災地を訪ね、自分の言葉で伝えることを意識したといいます。

のと鉄道語り部・牛上智子さん「家族皆んなで楽しく過ごしていた時間に突然(地震が)起こったのです」

「語り部列車」スタートの5日前。

語り部の3人は、関係者を前に本番さながらのリハーサルを行っていました。

のと鉄道語り部・牛上智子さん「どうしても気持ちが入るとあの時に戻ってしまうのでちょっと辛いのですが、ありのままを語り続けていかなければ」

のと鉄道語り部・宮下左文さん「皆さんの代弁者としてこれから3人で力を合わせて語っていきたいと思います」

■「語り部列車」が出発 心をこめて元日の光景を語る

列車が走り始めました。穴水駅から和倉温泉駅までの30分あまりの時間、語り部の3人はパネルを使いながら地震が起きた時の様子や被害状況を体験談を交えて語ります。

途中の能登中島駅は、宮下さん1月1日停車中だった列車の中で地震にあいました。当時の様子を振り返ります。

のと鉄道語り部・宮下左文さん「(津波が来るということで)白いガードレールの道を登って行った。振り返った高台からは七尾湾に横一直線に津波の姿が見えました」

語り部列車の乗客「実際に自分たちのところに(地震が)来た時に自分たちがどうなるんだろうなということはすごく感じた。きょうの話を聞いて」

のと鉄道語り部・宮下左文さん「これから語り部として進んでいく上で徐々に幅を広げた語りをしていきたいとあらためて感じました」

能登であの時、何が起き、住民は何を思い、今を生きているのかー。

のと鉄道の「語り部列車」は災害の教訓を風化させないため今後も震災の記憶を語り続けます。