保育士試験に64歳で合格 挑戦7回目「諦めなければ達成できる」 鴨川の髙梨さん(千葉県)

AI要約

介護福祉士から保育士へ転身した64歳の髙梨道広さんの成功ストーリー。

7回目の挑戦で合格した彼の努力と情熱。

将来的に共生型デイサービスの開設を目指し、子どもたちの可能性を引き出す意気込み。

保育士試験に64歳で合格 挑戦7回目「諦めなければ達成できる」 鴨川の髙梨さん(千葉県)

30年間にわたり、介護や福祉の仕事に携わってきた鴨川市太田学(おだがく)の介護福祉士、髙梨道広さん(64)が、合格率27%(2023年度)の保育士試験に合格した。市内のデイサービスで働きながら勉強に励み、7回目の挑戦でつかんだ。「諦めなければ目標を達成できる。子どもとふれあいながら、元気なうちはまだまだいろんなことにチャレンジしたい」と話している。

「日に日にできることが増え、可能性にあふれた子どもに関わりたい」。現在小学2年生の孫とのふれあいや、障害のある子どもが通う放課後等デイサービスでのボランティアなどがきっかけで、保育士試験へのチャレンジ意欲が湧いた。昨年設立されたこども家庭庁が「こどもがまんなかの社会の実現」を目指す中、「これまでの経験も生かしながら、子育てのお手伝いをできたら」との思いが強くなっていった。

保育士試験は9科目の筆記試験と実技試験があり、還暦だった2020年から年に2回受験してきた。筆記は、すでに持っている介護支援専門員や介護福祉士の資格と重なる分野もあったが、ほとんどは参考書を開き、独学で勉強。オリジナルの単語帳を作り、朝の散歩などで常に持ち歩きながら、心理学者の名前など覚えにくい名称を暗記した。

介護の現場は体力勝負。仕事を終えた後は、へとへとに疲れているという。いったん寝てから机に向かうこともしばしば。休日は、地域の行事や自宅の草刈り、災害ボランティア活動などでも忙しく、少しずつ時間を見つけて勉強や実技の練習に励んだ。

実技は、子ども向けに「ももたろう」などの話をする「言語」と、「音楽」を選択したが、音楽の経験はゼロ。楽譜も全く読めない状況で、市内の音楽教室に2020年から通い始めた。

楽器はギターを選んだ。課題曲の「夕焼け小焼け」などの弾き語りをひたすら練習。「覚えが悪く、何度も諦めようと思った」が、楽譜も読めるくらいまでに成長した。これまでの試験では、緊張で声が裏返るなどして不合格となっていたが、今回はなんとか最後まで歌いきることができた。

合格通知が自宅に届くと、応援してくれていた妻と共に喜んだ。「何度もチャレンジさせてくれた、家族や職場のみんなに感謝です」

勤務している市内のデイサービス「デイサロンさくら」では、現在受け入れている高齢者や障害者に加え、将来的には障害のある子どもも受け入れる「共生型デイサービス」の開設を目指している。髙梨さんは「取得した保育士の資格を生かして、子どもたちのできることをお手伝いしたり、可能性を見つけたりしたい」と意気込んでいる。

(安藤沙織)