夏休み明けに増える子どもたちの自殺…心の悩みに寄り添うには?専門家に聞く

AI要約

夏休みが明けた直後に子どもの自殺が増える傾向があることが内閣府の統計から分かっている。

専門家は、子どもたちの心の不調に気付くことが重要であり、子ども自身が助けを求めにくい場合もあるため、身近な大人のサポートが必要だと指摘している。

子どもたちが信頼できる大人との関わりを持つことが重要であり、県内には相談できる窓口も用意されている。

栃木県内でも小中学校や高校で夏休みが明けましたが、内閣府のまとめによると長期の休みが明けた直後に、子どもの自殺が増える傾向にあることが分かっています。子どもたちの心の悩みにどう寄り添うべきなのか、県内の専門家に話を聞きました。

内閣府がまとめた2015年版の統計では、過去40年間で18歳以下の自殺者は夏休み明けの9月1日に最も多くなり、春休みやGWなどが明けた直後も増える傾向にあることが分かっています。また2023年の1年間で、全国の小中高生の自殺者数は513人で、1980年の統計開始以来過去2番目の多さとなりました。

子ども達を守るためにはどうしたら良いのか。宇都宮市鶴田にある県カウンセリングセンターの丸山隆(たかし)代表は、長期の休みが明けたあとに心の不調を訴える子どもが多くなる理由について、次のように話します。

(県カウンセリングセンター 丸山隆代表)

「夏休み前に友達関係がうまくできなかった子、周りの子と齟齬をきたしている子、受験生は9月ごろから(勉強が本格的になる)プレッシャーなど。そういった場合などに、夏休み明けに重い気持ちになることがある」

丸山代表は、子どもたちが出す「いつもと違う」サインに気付くことが重要だと指摘します。そのサインは主に朝学校に行く前に「起きる時間や着替えが遅くなる」、「お腹や頭が痛いと言う」などさまざまだといいます。

(丸山隆代表)

「「早くしろ」「ちゃんとしろ」だけではなく、「何かあるのか」と声かけをしてあげることが重要」

子ども自身が助けを求めて専門機関に繋がるのは難しい場合もあり、身近な人からの声かけなどで相談につながるケースが多くあります。一方で、思春期の子どもたちは保護者や周りの大人に素直に話せないこともあることから、「もし役立つことがあったらいつでも言って」などと、助けを求める余地を残してあげることが重要だといいます。

そして丸山代表は、子どもたちにとって必要なのは「自分を認めてくれる人の存在」だと話します。

(丸山隆代表)

「休むことがいけないとか、学校に行かないからダメとかではない。信用できる大人を探してほしい。あなたに合う大人は必ずいる。大人は子どもたちを見守っているし、役に立ちたいと思っていることを思い出してもらえると嬉しい」

県内には子どもや保護者が、悩みを相談できる窓口が設けられています。

・チャイルドラインとちぎ 0120―99―7777(午後4時~9時)

・栃木いのちの電話    028-643-7830(24時間)

・栃木県連合教育会    028-621-7274(午前9時30分~午後4時30分)