コロナ補助金などで15年連続の黒字 三重・松阪市民病院の昨年度決算

AI要約

2023年度の松阪市民病院の事業決算がまとまり、15年連続の黒字を達成した。新型コロナウイルス感染症に関連した補助金により、純利益は1億3046万7250円に達した。

医業収益や医業外収益などの内訳が示され、特別利益や特別損失を考慮した純利益が算出された。新型コロナに関連する補助金が大幅に減少したことも報告されている。

入院収益や外来収益についての詳細が記載され、特に診療単価の上昇や入院患者数の減少が影響を与えていることが伝えられている。

コロナ補助金などで15年連続の黒字 三重・松阪市民病院の昨年度決算

 三重県松阪市殿町の松阪市民病院(畑地治院長)の2023(令和5)年度の事業決算がこのほどまとまった。前年度と同様、新型コロナウイルス感染症に関連した国、県の補助金により純利益は1億3046万7250円で15年連続の黒字となった。昨年5月、新型コロナが感染症の5類に移行したものの、患者数はコロナ前の水準には戻らず医業収支は10億4460万6799円の赤字。経営の健全性を示す経常収支比率は、前年度比9.79ポイント減の101.23%で健全経営の水準(100%)を上回った。

 経常利益の内訳は▶医業収益=93億5712万7651円▶医業費用=104億173万4450円▶医業外収益=19億2660万8410円▶医業外費用=7億2463万2037円──などで1億3769万9656円。ここから特別利益91万5193円、特別損失814万7599円を加減した純利益は1億3046万7250円となった。

 医業外収益の新型コロナなど対応分の国、県の補助金は7億2674万5千円で、前年度から16億3635万8820円減少した。

 医業収益は▶入院収益=50億9460万6874円▶外来収益=40億6996万7071円▶他会計負担金(他会計からの繰り入れ金)=6735万1千円▶その他医業収益=1億2520万2706円──。外来収益については、外来患者数は減少したものの、診療単価の上昇を受け前年度比8708万9368円上昇した。一方、入院収益については、入院患者数の減少により前年度比1億5667万97円減少。一般病床稼働率は68.7%で昨年度より2.3ポイント低下した。

 また科目別診療報酬調定額では、呼吸器内科が46億876万7091円、同外科が4億5013万2353円で医業収益の約半数を占めた。施設整備では、透析供給装置(2552万円)などの購入や電気設備改修などを実施した。

 入院患者数は延べ8万2483人で前年度比2580人減、外来患者数は延べ11万4330人で同1178人の減となった。

 資本的収支については、資本的収入6億3358万4千円、同支出が10億3387万359円となり、4億28万6359円の不足となったが、過年度分損益勘定留保資金などで補填(ほてん)した。

 同病院は医業収益の落ち込みについて、前年度同様に、コロナ病床確保に病床運用の制限、受診控えの傾向や医療需要の変化に伴う入院診療収益の減少が要因としている。