「公益通報者保護法に違反」と専門家断言 斎藤知事「パワハラ」告発めぐり 県の弁護士「問題ない」主張も
兵庫県の斎藤知事が告発された問題、百条委員会で重要局面が迎えられている。
公益通報の専門家が真相解明の鍵となる可能性があると指摘。
告発内容が事実であることが判明し、法的問題に発展。人事当局の処分に疑問が残る。
兵庫県の斎藤知事が告発された問題、百条委員会では重要局面を迎えています。
告発者を処分した県に助言した、“影のキーマン”とされる弁護士が出頭。
真相解明の鍵となるのでしょうか。
【公益通報の専門家 上智大学 奥山俊宏教授】「知事らの振る舞いは、公益通報者保護法に違反すると。まるで独裁者が反対者を粛清するかのような陰惨な構図を描いてしまった」
兵庫県の対応を批判したのは、百条委員会に参考人として出席した公益通報の専門家です。
ことし3月、元西播磨県民局長は斎藤知事のパワハラ疑惑などを告発し、翌月には県の公益通報窓口にも通報しました。
当初、斎藤知事は…。
【斎藤元彦知事】「事実無根の内容が多々含まれている。業務時間中に嘘八百含めて、文書を作って流す行為は公務員として失格です」
「公益通報者保護法」では、通報者への処分を禁止していますが、県は告発内容に「真実相当性がない」として公益通報としては扱わず、ことし5月、元局長を懲戒処分しました。
しかし、その後、告発内容の一部が事実であることが判明。
先週の百条委員会でも、パワハラ行為として記載があった「20メートル歩かされ、叱責した」ことや、「机を叩く」「休日や深夜に幹部にチャット」するなど多くの事実を知事本人が認めました。
【公益通報の専門家 上智大学 奥山俊宏教授】「告発文書には、法的に保護されるべき公益通報が含まれていることが、今や明らかになってきていると思われますので、知事らの振る舞いは公益通報者保護法に違反すると思います」
専門家が「法律違反」とまで指摘した人事当局の処分は、なぜ実行されたのでしょうか。
県が内部調査を進めていたことし4月には、人事課の職員から幹部に対し、「公益通報の結果が出るまで、処分を待つべき」と進言があったことも関係者への取材で明らかになっています。
関係者によると知事は一旦は了承したものの、「調査を待たずに処分できないか弁護士に確認してほしい」と幹部に指示。
県の特別弁護士を務める藤原正広弁護士が「法的に問題ない」と回答したため、元局長は保護されることなく、懲戒処分されました。