学び深め、高度な人材に 県立産技短大校から山大工学部へ、初の編入試験2人合格

AI要約

県立産業技術短期大学校(山形市)の修了生2人が山形大学工学部に編入試験に合格し、来年からさらなる高度な教育を受けることができる新進学ルートがスタートする。

編入試験は2022年に改正された構造改革特区法により可能となり、今回は産技短からの2人が合格した。彼らは将来も地元山形で活躍する意向を持っている。

産技短では技術を身に付けた後、山形大学への編入が認められる仕組みを整え、地域の産業発展に貢献することを目指している。

 地域の産業界で即戦力となる技術者を育成する県立産業技術短期大学校(山形市、佐藤俊一校長)の修了生が、山形大工学部の3年次に編入してさらに高度な教育を受ける新たな進学ルートが来年度にスタートする。新制度適用後初の編入試験で、産技短から2人が合格した。来春から山大に通う2人は「学びをもっと深掘りし、将来も山形で頑張りたい」と意気込む。

 産技短は厚生労働省所管の職業能力開発短期大学校。主に高校卒業後の2年間で各種技術を身に付け、多くが県内企業などに進む。文部科学省所管の大学への編入は基本的に認められないが、2022年の構造改革特区法改正により、計画認定を受けた区域内では編入が可能となった。より高度な人材の育成により地域産業の発展につなげることが狙いで、本県も山大と協力して計画を申請し、昨年3月に認められた。

 今回編入試験に合格したのは、共に知能電子システム科2年の佐藤悠さん(19)=真室川町出身=と小埜(おの)翔太郎さん(19)=尾花沢市=の2人。入学時は編入を考えていなかったが、共にIoT(モノのインターネット)などの研究を進める中で「より学びを深めたい」と希望した。

 他大学や短大、高等専門学校などが対象だった編入試験の出願資格に今年から産技短が加わった。英語検定試験「TOEIC」の得点と、専門分野の知識を問う口頭試問で選抜される。2人は授業後の特別講座など産技短のサポートを受けて学習を進め、今年6月に受験し、7月に合格が発表された。佐藤校長は「産技短で学ぶ技術力に大学の研究開発力を重ねることで、より高度な人材育成の道が開けた。パイオニアとして活躍してほしい」と喜ぶ。

 2人は、センサーによって読み取ったさまざまな情報を活用する技術などを研究している。細かい将来設計はこれからだが、大学院への進学後に「地元山形で働きたい」という思いは共通している。佐藤さんは「もっと勉強したいという人に頑張れる道があるのは良い」、小埜さんは「産技短の先生もサポートしてくれるので、興味を持ったら挑戦してほしい」と語った。