「刑に服したことで罪を償ったと思うのは『大きな間違い』」 娘を奪われた父が『命奪った側』受刑者に語る

AI要約

神戸刑務所で行われている被害者遺族による受刑者向け教育プログラムについて取材が行われた。プログラムは被害者の視点を取り入れ、犯罪の重大さを伝えることで再犯防止を目指している。

講師として参加した中江美則さんは、娘を亡くした遺族であり、自らの体験を通じて受刑者に訴えかける。中江さんは娘の無念さや苦しみを伝え、犯罪の被害者が直面する現実を伝える。

中江さんは娘の写真を見つめながら、被害者遺族が抱える悲しさや怒りを語り、犯罪がもたらす避けられない現実を強調する。

「刑に服したことで罪を償ったと思うのは『大きな間違い』」 娘を奪われた父が『命奪った側』受刑者に語る

人の命を奪い、刑務所に服役している受刑者に、被害者遺族が講師となり、直接話す教育プログラムがあります。

娘を奪われた父親が、投げかけた言葉とは。

8月2日、関西テレビは、特別な許可を得て神戸刑務所内で行われた「ある教育プログラム」を取材しました。

受講するのは、殺人や傷害致死などの重大犯罪を犯し、服役している受刑者です。

プログラム名は、「被害者の視点を取り入れた教育」。

被害者や遺族の心情に触れ、犯した罪の大きさを知り、再び罪を犯さない決意を固めさせることが目的です。

この日、講師として招かれたのが、中江美則さん(61)です。

【中江美則さん】「みなさんやったらどうですか?自分の娘殺された。父親にとって一番苦しいことが起きてしまいました。遺族の訴えを、事実を伝えてこそ、重大な意味が理解されると思っています」

中江さんは12年前、突然、娘の命を奪われました。

2012年、京都府亀岡市で集団登校の列に車が突っ込み児童2人と子供に付き添っていた中江さんの長女・松村幸姫(ゆきひ)さん(当時26歳)が死亡、7人が重軽傷を負いました。

幸姫さんのお腹には、子供がいました。

車を運転していた当時18歳の元少年は無免許のうえ、友人と一晩中遊んだ末の居眠り運転でした。

しかし、過去に無免許運転を繰り返していたことから「車を運転する技能はあった」と判断され、「危険運転」ではなく居眠りという”過失”で起きた事故として、「自動車運転過失致死傷罪」に問われ、実刑判決を受けました。

(懲役5年以上9年以下の不定期刑)

中江さんは犯罪被害者がおかれた苦しい状況を涙ながらに訴えます。

【中江美則さん】「被害者遺族は、残された犠牲者やと思っている。置き去りにされた犠牲者やって。こんなものあってほしくないもの、全てが僕を囲んでいる」

中江さんの自宅には、幸姫さんの写真がたくさん飾られています。

愛する娘は思い出にならずに、そばにいてくれるものと思っていました。

【中江美則さん】「これが現実なんです。もう避けられない事実です。許せるわけがない。なんかやっていないと、前に歩けないのかなと思っています」