保護犬 返還1割 茨城県内、鑑札・注射済票が未装着 県「所有者明示が重要」

AI要約

茨城県動物指導センターに保護される迷い犬のうち、飼い主に返還されるのは毎年1割程度にとどまる。

同県笠間市日沢にある同センターは、犬猫の保護や収容などを行う県の機関。

県は9月を動物愛護月間、10月を飼い主のマナー向上月間として啓発に注力。

保護犬 返還1割 茨城県内、鑑札・注射済票が未装着 県「所有者明示が重要」

茨城県動物指導センターに保護される迷い犬のうち、飼い主に返還されるのは毎年1割程度にとどまる。野犬も含まれ、所有者が分かる「鑑札」や「注射済票」を装着しておらず、手がかりのない犬が収容されるケースが多いからだ。県は飼い主の努力義務であるマイクロチップ装着を含めた「所有者明示が重要」とし、啓発に取り組む。

同県笠間市日沢にある同センターは、犬猫の保護や収容などを行う県の機関。常時100頭以上の犬が犬舎で暮らしている。保護犬のうち、人に慣れていないなど「野犬」の可能性がある犬は6割前後に上り、首輪があるなど「飼い犬」とみられる犬は3割前後という。

同センターによると、昨年度は907頭の保護犬のうち、11%の97頭を返還した。21年度は12%の114頭、22年度は13%の137頭と、近年の返還率は約1割で推移する。「飼い犬」で所有者の元に戻れたのは3分の1程度となり、小森春樹センター長は「胸が締め付けられる」と語る。

同センターでは保護から1週間、公式ホームページ(HP)などで写真や特徴を公表。期限を過ぎた場合は、民間の協力による譲渡に向け準備を始める。

狂犬病予防法では、飼い主が分かる「鑑札」と「注射済票」の二つの装着が義務付けられている。居住市町村での犬の登録時や、狂犬病の予防注射を受けた際に交付される小型の番号入りプレートで、首輪などに取り付ける。

市町村で番号を照会できるため、装着している犬はほとんどの場合、収容前に返還される。自然に外れてしまうことも想定されるが、県生活衛生課は「二つのうち、どちらかが付いていれば大きな手がかりになる」と重要性を示す。

また、犬猫の飼い主情報を登録した超小型のマイクロチップ装着も有効とされる。22年6月、改正動物愛護法の施行で、ペットショップやブリーダーなどの販売元は「義務」、飼い主は「努力義務」となった。

マイクロチップがあったことで同センターから返還された犬は、21年度に3頭、22年度に5頭、昨年度に7頭と徐々に増えている。

同課はこうした所有者明示のほかに「飼い主のマナー向上、飼い犬を見つける努力も大切」と訴える。

県動物愛護条例では、人への危害を防ぐため犬の放し飼いを禁止する。しかし、犬が姿を消しても「そのうち帰ってくる」と放置し、同センターなどに問い合わせをしない飼い主もいるという。

県は9月を動物愛護月間、10月を飼い主のマナー向上月間として啓発に注力。両月を中心に各市町村でのイベントに参加するほか、公式HPでも啓発を続ける。同課の担当者は「飼い主と犬、互いの不幸を少しでも減らすため、改めて飼い方の見直しをお願いしたい」と話す。