「生食文化守りたい」アニサキス瞬殺の熊本大研究 社会実装へ東京でPR

AI要約

熊本大学が開発したアニサキスの殺虫技術をPRする「アニー」が大きな注目を集める。

浪平准教授らは、品質を損なわずアニサキスを殺虫する技術を開発し、広く展開することで日本の生食文化を守ろうとしている。

熊本大学のブースでは多くの業界関係者が訪れ、坂本哲志農水大臣も興味を示していた。

「生食文化守りたい」アニサキス瞬殺の熊本大研究 社会実装へ東京でPR

 東京ビッグサイトで国内外の水産関連企業などが集うジャパン・インターナショナル・シーフードショーが開催されました。その中で、ひときわ異彩を放つ存在が、熊本大学のブースに―

泉田寛典記者

「アニサキスの殺虫技術のPRブースが設けられています。この技術PRするのはアニサキスの『アニー』ちゃんです」

 刺し身に潜む寄生虫「アニサキス」が、まさかのキャラクターになりました。熊本大学が進める、魚に潜む寄生虫「アニサキス」の殺虫技術。この技術を広めるPR大使です。

 アニサキスは、生きたまま体内に入ると、激しい腹痛などの食中毒を引き起こす寄生虫で、予防するためにはマイナス20℃で24時間以上、冷凍処理する必要がありますが、刺し身の食感が変わってしまうなどの課題がありました。

 熊本大学の浪平隆男准教授らは、刺し身に潜むアニサキスを殺虫する技術を開発。高い電圧で瞬間的に電気が流れる雷のような仕組みの「パルスパワー」と呼ばれる技術で、品質を落とさずアニサキスだけを殺虫することができるといいます。

 浪平准教授らは、開発した技術を社会に広く展開して、刺し身などの日本の生食文化を守っていきたいと、広報活動にも力を入れています。

 普段はパルスにやられて力なくうなだれている「アニー」ですが、自ら体験したこの技術の有用性を広める際には、得意のくねくねダンスで見る人の目を釘付けにします。「アニー」は、PR大使として宣伝力を発揮し、食品加工関係の企業や全国展開するスーパーの関係者など多くの業界関係者が熊本大学のブースを訪れていました。

訪れた人

「かわいいなと思って。でも、アニサキスなんですよね…」「食品を扱うとアニサキス問題はどうやっても確認しないといけない」「こういうイラストがあることで若者の目を引くのかなと」「キモカワイイの分類だと思います」

 さらに、熊本県選出の坂本哲志農水大臣の姿も。パルス処理されたサーモンを食べ比べたほか「アニー」にも興味津々の様子でした。

浪平准教授

「製作を考えるよと言っていただいているメーカーもあったり、ビジネスチャンスがありそうだという意見もあった。誰もが喜んでくれるような社会実装ができればと考えています」