廃食油BDFを通年使用 新千歳の作業車両 JAL、セコマなど

AI要約

日本航空(JAL)、セコマ(札幌市)など4社は22日、セイコーマートから回収した廃食油を原料にしたBDFを新千歳空港内の作業車両で通年使用開始した。

BDFを使うことでCO2排出量を年約54トン削減する見込みで、地産地消の取り組みが道内空港では初めて。

通年運用に当たり、夏期と冬期で濃度を調整し、BDFタンクを配置して段階的にBDF使用車両を増やす計画。

廃食油BDFを通年使用 新千歳の作業車両 JAL、セコマなど

 日本航空(JAL)、セコマ(札幌市)など4社は22日、コンビニエンスストアのセイコーマートから回収した廃食油を原料にしたバイオディーゼル燃料(BDF)を、新千歳空港内の作業車両で通年使用を始めたと発表した。脱炭素エネルギーの地産地消を推進する道内空港では初の取り組みで、3車種計11台でBDFを年約2万リットル使い、二酸化炭素(CO2)排出量を年約54トン削減する見込みだ。

 セイコーマートの店内調理「HOT CHEF(ホットシェフ)」から使用済み植物油を回収し、セコマグループの白老油脂(白老町)がBDFを製造。JALの空港内車両138台のうち、トーイングトラクター9台、フォークリフト1台、航空機けん引車1台で使用し、豊田通商(愛知県)が配送と供給を、千歳空港モーターサービス(千歳市)が給油を担う。

 JALは昨年8~11月に新千歳で、軽油を混ぜない濃度100%のBDFを作業車両3台に使う実証実験を実施。約3カ月半でBDF2275リットルを使い、CO2排出量を約6トン削減し、軽油と比べてCO2は実質100%の削減率だった。一方、冬はBDFが凍る懸念があるため、通年運用に当たって凍結防止に軽油との混合燃料を使い、燃料タンクに温風装置を設けた。

 BDFは夏(5~11月)に濃度100%を、冬(12~翌4月)に軽油と半々で混ぜたものを使い分けし、できる限りCO2削減につなげる。空港内に容量980リットルのBDFタンク2基を置くことで、BDF使用車両数も増やし、7月15日から通年運用を始めた。22日に特別ラッピング車両のお披露目など報道発表を行い、4社の代表が事業展望などを語った。

 JAL執行役員の林浩一北海道支社長は「実証で発生した問題を解決し、工夫を重ねて運用する。BDFの地産地消サイクルを知ってもらえたら」と笑顔で報告し、「運用状態を見ながらになるが、今後も広げていきたい」と意欲。セコマの丸谷智保会長も「社会全体のCO2削減に寄与するのは喜ばしい。どんどんカツ丼を食べて、廃食油を使ってもらえたら」と期待していた。