「虎に翼」ロケ地は微妙な反応…「イメージ悪くなる」はて?田舎民は腹黒い?

AI要約

現在放送中のNHK連続テレビ小説「虎に翼」が人気であり、新潟編では主人公の佐田寅子が奮闘する姿が共感を呼んでいます。

新潟県内の各地がドラマの舞台として登場し、地元の人々からは様々な反応が寄せられている。

弥彦神社や長岡市のロケ地として使用され、新潟県民からは舞台に選ばれて喜ぶ声もある一方で、地域のイメージへの懸念も存在している。

三条市民や新潟県民の間でドラマへの反応には賛否が分かれており、市のイメージ向上に期待や懸念が寄せられている。

「虎に翼」ロケ地は微妙な反応…「イメージ悪くなる」はて?田舎民は腹黒い?

 現在放送中のNHK連続テレビ小説「虎に翼」が人気です。7月15日にスタートした新潟編では、主人公の佐田寅子が新潟県三条市の新潟地家裁三条支部で奮闘する姿が、多くの共感を呼んでいます。新潟県内の各地も登場!弥彦神社(弥彦村)がロケ地になり、萬代橋や長岡空襲も描かれました。登場する自治体の住民からは「舞台になってうれしい」と喜ぶ声が聞かれる一方で「三条が悪い地域だと思われるかも」と心配する声も。そこで三条市民や新潟県民の受け止めを緊急調査しました。その結果はいかに…。

 「虎に翼」は、新潟家庭裁判所の所長として、女性で初めて裁判所長に任命された三淵嘉子さんの実話に基づくオリジナルストーリー。三淵さんは三条での勤務経験はないものの、ドラマの舞台に選ばれたことは、地元の人にとってはうれしいですね。

 NHKによると、新潟県内では5月、弥彦村、長岡市、新潟市で撮影が行われました。8月12日から放送予定の第20週の途中で、寅子は東京に戻るそうです。

 弥彦神社は寅子が働く新潟地家裁三条支部として連日のように、ドラマに登場しています。

 新潟編のスタート後、弥彦神社には県内外から「朝ドラに出ていましたね」「ドラマで弥彦神社を見て、懐かしいです」といった声が寄せられました。

 寅子が通勤・帰宅時に通る風景としてロケが行われた拝殿や随神門(ずいしんもん)、三条支部の外観として使われた「斎館(さいかん)」で記念撮影をする参拝客も多いとのこと。神社の職員は「どこで撮影しましたか」「ここがロケ地ですか」という問い合わせをしばしば、受けているそうです。

 権禰宜(ごんねぎ)の高橋孝至さん(53)は「『虎に翼』を機に弥彦神社に関心を持ち、足を運んでもらいたいです」と話していました。

▽長岡「慰霊の日」に空襲描く、「長岡花火の思いも知って」            

 「虎に翼」には新潟地方裁判所がある新潟市内の風景や、主要登場人物の家族が長岡空襲で亡くなったというエピソードも登場。新潟県長岡市の長岡戦災資料館では放送後、夏休みというタイミングもあり、家族連れの来館者が増えたそうです。

 作中で長岡空襲が描かれたのは、長岡空襲があった8月1日、「長岡まつり大花火大会」が行われる2、3日を控えた時期。1年で一番、長岡がにぎわうシーズンでもあります。

 近藤信行館長(60)は「『虎に翼』は、空襲で亡くなった方の慰霊、長岡の復興、平和への祈りを込めた花火だと知ってもらうきっかけになります。空襲の史実を学び、花火に込められた思いも含めて知ってもらえるとうれしいです」と話しています。

▽街ナカでもとらちゃんに会える ラッピングバス

 新潟交通はNHKと新潟県観光協会の協力で「虎に翼」バージョンのラッピングバスを運行しています。

 車体に大きく寅子が配置され、「美食と歴史にあふれるまち新潟県」というPR文もデザインされています。新潟市内で9月30日まで活躍するそうです。

 新潟県観光協会は「ドラマと新潟県のPRのためラッピングを企画しました。三条市で開催中の『虎に翼』展に行ったら、弥彦神社にも足を運んでもらい、県央地区をまるごと楽しんでほしいです」と話しています。

◆はて?三条市民はくせ者?三条市長は…

 ただ、三条市民や新潟県民が「はて?」と感じたポイントがあります。それは三条の描かれ方です。

 三条支部で奮闘する寅子の前に立ちはだかるのが、 三条市出身の高橋克実さん演じる弁護士の杉田太郎です。三条支部に赴任した寅子を「うんめぇごっつぉ、食いにいきましょて」と満面の笑みで迎えました。「持ちつ持たれつ」がモットーで、寅子に恩を売るかわりに、地元有力者の調停で便宜を図るように迫るなど、腹黒い面をのぞかせました。

 寅子の部下の不祥事を、杉田がもみ消そうとしたこともありました。その際、寅子は「ああいう人たちに借りなんてつくってほしくない」とピシャリ。「田舎」のしがらみや、濃い人間関係が強く残る地域という印象を与える描写が続きました。高橋克実さんは、三条市のPRアンバサダーなのに…。

 さて、県内の「とらつば」ファンは、どんな思いで「新潟編」を見ているのでしょうか。「虎に翼」展が開かれている、三条市の歴史民俗産業資料館別館「ほまれあ」などで緊急調査を行いました。

 「とらつば」ファンの三条市の団体職員男性(74)は「三条市はこんなにへき地じゃない。市や(金物の町らしく)鍛冶屋があってもいいのでは。寅子と杉田弁護士の仲も悪い。三条市のイメージをもっと良くしてもらいたい」と話していました。

 毎朝見ているという新潟市中央区の無職男性(61)は「『持ちつ持たれつ』が悪い言葉として、ネットで話題になっていた」と教えてくれました。やっぱり、少し悪いイメージなのかも…。

 心配しましたが、全く別の意見も。「とらつば」ファンという三条市の主婦(72)は「あはは、ドラマだからね。別に気にならない」と笑顔。「昔はお菓子をもらえば近所に分けるとか、『持ちつ持たれつ』だったでしょ。ちょっと前の田舎ならどこでもある話」と言っていました。

 新潟市中央区の50代の夫婦は「よくあるドタバタ劇。三条に対して嫌な感じはない」と言っていました。ああ、よかった!!

▽弁護士出身の滝沢亮三条市長の見解は…?

 勢いあまって、三条市の滝沢亮市長を直撃しました。ドラマの印象を聞くと開口一番、「全国が注目するドラマの舞台に三条が選ばれ、本当にありがたい。高橋克実さんに感謝です」と笑顔を見せました。

 その高橋さんが一癖も二癖もある三条市民の役柄ということについては、「いい意味で裏切られました(笑)。作中にインパクトを残しているので、さすがです」と感服。「とらちゃんの成長が加速するのに、三条がお役に立てているのかな。きっと最後は『東京に帰りたくない』と思ってもらえるはず」と期待を寄せました。

 三条観光協会も「三条市は、ものづくりのまち、アウトドアのまちを打ち出して頑張っています。『虎に翼』で注目されているこの機会に、三条に来て魅力を味わってほしいです」と呼びかけています。