亡き友に花供え10年、止まることのない2人の時間 広島

AI要約

広島土砂災害で亡くなった宮村逸子さんの友人が、彼女の自宅跡に花を供え続ける心温まる物語。

増田静美さんが10年間通い、宮村さんを偲び、彼女の楽しい姿を思い出す。

宮村さんとの思い出の写真が見つかり、2人の時間は止まることなく続いている。

亡き友に花供え10年、止まることのない2人の時間 広島

 2014年8月20日の広島土砂災害で亡くなった広島市安佐南区八木3丁目の宮村逸子さん=当時(71)=の自宅跡に、花を供え続ける友人がいる。近くの増田静美さん(78)。「ここに来ると心が落ち着く」と10年間通い、心の中で言葉を交わす。

 「宮村ちゃん、来たよー」。土石流の爪痕がコンクリートに残る宮村さんの自宅跡。増田さんが今月10日、ヒマワリやダリアなどの造花を挿した花瓶を更地に置いた。「自分の人生でこれだけ心を和ませてくれる人はいなかった」と語る。

 会いたい気持ちが募るたび、足を運んできた。思い浮かべるのは、ガーデニングが趣味の宮村さんが庭を楽しそうに手入れする姿だ。「いつもきれいにして、見て見てーとかわいらしく声をかけてくれた」と懐かしむ。

 宮村さんと夫祐之さん=当時(72)=が亡くなった10年前のあの日、土石流の通り道になった家は跡形もなかった。その後、約30メートル離れた増田さん宅の玄関先に、宮村さんの庭にあった陶器の犬の置物が流れ着いた。「会いに来たんだ」と思ったという。形見のように今も大事にしている。

 最近、宮村さんとのツーショット写真が見つかった。被災5カ月前の14年3月、市植物公園(佐伯区)で撮ったもの。花に囲まれた2人は満面の笑みを浮かべる。写真の中では10年前のまま。でも、2人の時間は止まることなく続いている。