朝鮮半島の詩テーマに歌披露へ 岡山の沢知恵さん、CFで費用募る

AI要約

岡山市在住のシンガー・ソングライター沢知恵さん(53)が、祖父の詩人・随筆家金素雲と詩人茨木のり子が翻訳した朝鮮半島の詩をテーマにしたコンサートを開催する。

コンサートでは金素雲と茨木の翻訳した詩をメロディーを付けて歌ったり、朗読したりする予定で、後日ユーチューブで公開する予定。

開催と映像化の費用をクラウドファンディングで募り、詳細や支援は専用サイトで確認できる。

朝鮮半島の詩テーマに歌披露へ 岡山の沢知恵さん、CFで費用募る

 岡山市在住のシンガー・ソングライター沢知恵さん(53)が9月24日、祖父の詩人・随筆家金素雲(キムソウン)と詩人茨木のり子が翻訳した朝鮮半島の詩をテーマにしたコンサートを岡山県立図書館(同市北区丸の内)で開く。開催と映像化の費用をクラウドファンディング(CF)で募っており「2人は半島に生きる人たちの心を日本に伝えようとした。その美しい言葉を私の声を通して響かせ、多くの人に届けたい」と話している。

 金素雲(1907~81年)は20年に来日。詩人北原白秋に認められ、朝鮮半島に伝わる民謡を日本語訳した「朝鮮民謡選」などを刊行した。韓国近現代詩の翻訳にも注力し、65年の帰国後も日韓の文化交流に尽くした。茨木のり子(26~2006年)は金の「朝鮮民謡選」を愛読していたと随筆に記述。50歳ごろからハングルを学び、韓国現代詩を翻訳する仕事も手がけた。

 幼少期を韓国で過ごした沢さんは金と度々会っていた。「よく駄菓子を買ってくれた優しいおじいさん」を文学者として捉え直したのは死去後の20代半ばごろ。自宅の本棚にあった翻訳の詩集を何げなく手に取り「優しくて力強い、なおかつリズム感のある見事な訳」に胸が高鳴った。

 若い時からファンだった茨木には、自身が金の孫だと打ち明ける手紙を送り、返信をもらったこともあった。

 コンサートは、キャリアを重ねたことで2人の文学性を表現できるという自信がついたため企画した。韓国の伝統打楽器の演奏に合わせ、金が翻訳を手がけた「こころ」、茨木の「隣国語の森」などにメロディーを付けて歌ったり、朗読したりする予定。映像も撮影し、後日ユーチューブで公開する。

 会場はお気に入りの場所という県立図書館の1階閲覧室。「活字が浮き出し、私の体を通して音楽になるイメージ。書籍に囲まれた特別な空間で、2人が紡いだ言葉を味わってほしい」と呼びかける。

 CFは山陽新聞社や中国銀行の「晴れ!フレ!岡山」を活用し、目標額60万円を9月30日まで募る。返礼品はサイン入りのチラシやポスターなど。コンサートは午後6時半開演で入場無料。定員100人(応募多数の場合は抽選)で8月25日までに図書館ホームページから申し込む。

 詳細や支援は専用サイト(https://readyfor.jp/projects/sawatomoe-libraryconcert)。