ヒマラヤから大西洋へ 高岡出身・中山さん、ヨットレース挑戦 「ハードル高くやりがい」

AI要約

ネパール・ヒマラヤ未踏峰登頂からヨットレース出場目指す高岡市出身の中山寛樹さん

20年の滑落事故をきっかけに未経験のヨットに挑戦を決意

ミニトランサットへの出場を目指し、フランスでの航行を重ねる中山さん

ヒマラヤから大西洋へ 高岡出身・中山さん、ヨットレース挑戦 「ハードル高くやりがい」

  ●19年に未踏峰登頂 

 2019年にネパール・ヒマラヤ未踏峰のホングー(6764メートル)の登頂に成功した高岡市出身の中山寛樹さん(41)=東京=が来年、小型セーリングボートの大西洋横断ヨットレース「ミニトランサット」への出場を目指している。中山さんは20年、登山中に滑落を機に未経験のヨットに挑戦を決意。「スケールが大きく、ハードルも高そうでやりがいを感じた」と意気込んでいる。

 中山さんは2017年にネパールのアマ・ダブラム(標高6812メートル)、19年にはホングーと南米最高峰アルゼンチン・アコンカグア(6960メートル)の登頂にも成功した。

  ●けがを転機に

 転機は20年。トレーニングの登山中に滑落し、けがのためにクライミングから離れていた際、世界一周のヨットレース「ヴァンデ・グローブ」を偶然テレビで見た。それまでヨットの経験は全くなかったが、やってみようと思い立った。

 免許を取得してからは、ヨットを購入して神奈川県を拠点に練習したり、さまざまな国内のレースに出たりして鍛錬を重ねた。

 ミニトランサットは隔年で開催されており、中山さんは23年、再来年に開催されるレースへの出場を決意。それまでは登山も平行して行ってきたが、「専業でないとやりきれない」と、ヨットだけに集中する。

 富山県セーリング連盟によると、日本人がミニトランサットに出走するのは珍しく、県出身者がエントリーしたことはない。事務局の高野浩昌さんは「とても難易度の高いレースで、知識と経験がないと難しい」と説明する。

 1932年創刊の国内唯一のセーリング専門月刊誌「KAZI」を発行している舵社(東京都)によると、ミニトランサットを完走した日本人はこれまでに2人だけで、直近は2019年のレースとなる。中山さんと親交のある編集部チーフの中村剛司さんは「中山さんがレースに出るために努力しているのを知っている。夢をかなえてほしい」と話した。

  ●仏に拠点移す

 出場するためには、過去5年以内でレースに出場し、計1500マイルを走るなどの条件がある。中山さんは今年2月にフランスに拠点を移した。同国で開催されるレースに出場し、これまでに350マイルを達成した。出場の可能性をより高められるよう、年内に計2150マイルの航行を目標にする。

 中山さんは「これまでやってない新しいことに挑戦するのは面白い」と話した。

 ★ミニトランサット 2年に一度開催される、小型のセーリングボートを使った大西洋横断ヨットレース。エンジン搭載不可、地図が表示されるGPS機器は使用不可などのクラスルールがある。コースは計7500キロで、2行程で実施。2025年は第1レグが9月後半に始まり、フランスのレ・サーブル・ドロンヌからカナリア諸島のラ・パルマ島を目指す。第2レグは11月前半に始まり、同島からカリブ海グアドループ島に向かう。