山陰初の電車、法勝寺鉄道 全線開業100周年 12日、鉄道模型の展示やクイズラリー予定 鳥取県南部町

AI要約

「法勝寺鉄道」が開業から100周年を迎える。イベントで町の歴史を伝え、文化財保存の意義を伝える。

かつては毎年100万人以上を運んだが、自家用車の普及で閉線。現在は保存修理した客車を展示し、鉄道の影響を伝えている。

100周年記念イベントも開催。小さな子ども向けに鉄道模型の展示やクイズラリーを予定。町の歴史を次世代に伝える工夫も。

山陰初の電車、法勝寺鉄道 全線開業100周年 12日、鉄道模型の展示やクイズラリー予定 鳥取県南部町

 山陰初の電車で米子市内と鳥取県南部町法勝寺間の12・4キロを結んだ「法勝寺鉄道」が12日、1924年の全線開業から100周年を迎える。同町は運行当時を知らない子ども向けにイベントを企画。鉄道とともに発展した町の歴史を継承し、文化財保存の意義を伝える。

 同鉄道は旧日ノ丸自動車が運行し、現在の国道181号や法勝寺川に沿った経路を40~50分かけてつないだ。59~64年度は毎年100万人以上を運んだが、自家用車の普及で収益が悪化。67年5月に44年間の歴史を閉じた。

 現在は同町法勝寺のキナルなんぶと米子市道笑町1丁目の元町パティオ広場で保存修理した客車を展示するほか、町内の駅があった場所には復刻駅名標が設置されている。キナルなんぶに展示されているデハ203号電動客車は、数少ない大正期の国産木造車で、全国から愛好家が集まる。

 鉄道の開通で米子市街に誰でも行けるようになった影響は大きく、当時利用していた町民から話を聞き集めた町人権・社会教育課の大塚幸課長補佐は「人や物資の移動で生活水準の向上に寄与し、町の発展の礎となった」と話す。

 廃線から60年近くがたち、活躍を知る人は年々減少。町は町立西伯小学校で歴史を教えるほか、2020年度から100周年事業を展開。写真資料や年表、町民の体験談を収録した記念誌の発行や専門家を招いた講演会を開催した。

 100周年の記念日となる12日は、キナルなんぶでイベントを企画。小さな子どもに楽しんでもらえるよう、鉄道模型の展示やクイズラリーを予定する。大塚課長補佐は「これからの100年に向けて、往時を知らない世代にも大切に思ってもらえる仕組みをつくりたい」と述べた。

 記念イベントは午後1~4時。参加無料。連絡先はキナルなんぶ、電話0859(46)0870。