人身被害時は「警報」 クマアラート、三重県が導入

AI要約

県はツキノワグマの出没情報を迅速に伝える「クマアラート」を導入

今年度の出没件数は過去最多で、全国でも増加傾向

熊除け鈴の設置やパトロール強化など対応を強化

 県内でツキノワグマの出没が相次いでいることを受け、県は9日から、出没情報を迅速に伝えて注意喚起を呼び掛ける「クマアラート」を導入した。期間は2カ月間で、多発した時などに発表し、県民や登山客に注意を促す。松阪地区でも6月5日に多気郡大台町唐櫃でクマらしき動物が目撃されている。

 今年度のツキノワグマの県内の出没件数は7日時点で63件で、記録が残る2006(平成18)年度以降最多だった昨年度の40件を大幅に上回っている。全国でも増加しており、人身被害件数は同日時点で47件、うち2件が死亡につながった。

 県によるとクマアラートは「注意報」と「警報」の2段階で構成。注意報は県の各農林(水産)事務所管轄の7地域に分けて発表し、松阪地域では松阪市と多気郡3町を管轄する松阪農林事務所(松阪市高町)が担当する。

 発表基準は、月単位で過去5年の各事務所単位の出没件数の平均値の2倍を超えた時や、人身被害発生の懸念がある時。注意報が発表されると、登山関係者やガイドなどを対象にした被害防止の研修会や、アウトドア施設などへの看板設置、各市町での防災無線での呼び掛けの徹底、パトロール実施などの対応を取る。

 警報は人身被害が発生した時に出す。各市町単位で情報の周知を図る。その上で、猟友会と連携したパトロール強化や捕獲の実施などを行う。

 また、県地域連携部東紀州振興課によると、熊野古道では秋の行楽シーズンまでに2千個のクマ除け鈴の設置を各市町観光案内所や地元の語り部の人に配布。鈴を必要とする観光客らに貸し出す予定だという。さらに、伊勢路での注意喚起の看板設置なども行う。

 注意・警報も県や各市町のホームページなどにも掲示される予定。一見勝之知事は9日午前10時半から県庁で開いた記者会見で「取り組みの強化をしていきたい」と話した。