奄美の復帰運動テーマに座談会 検証Q&A会議、市民ら30人参加

AI要約

鹿児島県奄美群島の日本復帰について考える座談会が開催され、市民ら約30人が参加。復帰運動の歴史や現状について活発な議論が行われた。

座談会では復帰運動に関する80項目以上の問題が挙げられ、復帰への取り組みや当時の情勢について深く掘り下げられた。

参加者の要望や意見から、復帰運動のデジタル化や現在の状況についての検証が必要とされるなど、今後の取り組みが提案された。

奄美の復帰運動テーマに座談会 検証Q&A会議、市民ら30人参加

 鹿児島県奄美群島の日本復帰について考える座談会「復帰検証Q&A会議」(復帰伝承6団体主催)が9日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAであった。市民ら約30人が参加。「奄美群島の日本復帰運動を伝承する会」の花井恒三事務局長(76)が司会を務め、復帰運動に関する知識の共有や問題提起、知りたい点などを活発に議論した。

 座談会は復帰から節目となる年などに実施。復帰70周年の昨年は、関連イベントや勉強会が盛り上がったことを受けて、昨年に続き開いた。

 会の前半は花井さんが米軍政や行政、教育などの分類で挙げた約80項目の中から代表的なものを説明。旧大阪人権博物館(大阪市)に米軍政府統治下の奄美関連の展示があったことに触れ「人権という角度から復帰運動を捉えるとどうなるか」や、復帰運動下の奄美で、同じ復帰を目標としながらも対立する保守系と共産系に触れ「両輪がしっかりと機能していたことが米軍政府の統治のあり方に影響を与えたのでは」などと問題提起。その上で「何を学ぶかではなく、どういう切り口でいかに学ぶかが大切」と訴えた。

 後半は自由討論。教育関係の参加者からは「嫌なことがあった時に我慢する子どもが多い。復帰運動では、口に出し行動を起こしたこと、陳情など誰かに代わりに言ってもらったことなど、自分らしく生きる権利を要求するために組織的に動いたことを伝えている」。他の参加者からは「復帰運動の歴史資料や論文などのデジタル化を」「復帰運動の検証と併せて、奄美の上空を飛行する米軍オスプレイなど現在の状況も考える必要がある」などの要望や意見が上がった。

 復帰運動関連の勉強会に初めて参加したという奄美市名瀬の西村まゆみさん(55)は「復帰の歴史が知りたかった。自分が子どもだった頃は(今とは違い)学校で復帰運動を学ぶ機会がなかった。一から学んでいきたい」と話した。