〈本社記者・パリだより〉AS・木島「情けないし悔しい」 3年の思い尽くすもメダル届かず

AI要約

3年間の思いをぶつけたが、世界の壁は高かった。アーティスティックスイミングのチームに出場した日本は、最終種目で5位に終わり、木島萌香選手はメダルに届かず悔し涙を流した。

ARでは渾身の演技を披露したが、得点が伸び悔しい結果となった。木島選手は3年間の努力が報われなかったことに対し、大きな悔しさを表現した。

木島選手は競技に対する情熱を示し、技の構成難度や完成度が不足していたことを認めた。地元への感謝の気持ちを涙ながらに表した。

〈本社記者・パリだより〉AS・木島「情けないし悔しい」 3年の思い尽くすもメダル届かず

 【パリ=田島大之】3年間の思いをぶつけたが、世界の壁は高かった。アーティスティックスイミング(AS)のチームに出場した日本は最終種目アクロバティックルーティン(AR)を終え、5位となった。2大会連続でメダルに届かなかった木島萌香選手(アース製薬・井村クラブ、白山市出身)は「全く歯が立たず、情けない気持ちと悔しい気持ちでいっぱい」と大粒の涙をこぼした。

 ARは渾身(こんしん)の演技だった。「アリゲーター」をテーマにした構成は荒々しさと気迫を前面に押し出し、課題だった七つのリフトも全て成功させた。ただ、得点は期待していたほど伸びず、結果を見守った選手たちに笑顔はなかった。

 「このために3年間頑張ってきたので、すごい悔しい」。前回東京大会で4位となり、「メダルは喉から手が出るほど欲しい」と語っていた木島選手。ARは練習してきたことを出し切れたと振り返ったが、初日のテクニカルルーティン(TR)、2日目のフリールーティン(FR)で得点を伸ばせなかったことを悔やんだ。

 技の構成難度や完成度について「今の日本は技術力、正確性が以前より低下している。こういう練習をしていればな、と今になって思うところはあるが、世界に通用しなかった」と語った。

 「人魚になりたい」と小学1年から始めた競技。メダルに向けた厳しい練習に何度もくじけそうになった。つらい時、辞めたい時に支えになったのは、ふるさとの応援だった。地元白山市へ「皆さんの声援が力になった。応援ありがとうございました」と語り、あふれる涙を拭った。

  ●地元白山でPV 市民ねぎらう

 木島選手の地元白山市で行われたパブリックビューイング(PV)では、市民ら約80人がスティックバルーンをたたいたり、拍手したりして健闘をたたえた。

 会場の鶴来総合文化会館クレインでは、最後に田村敏和市長が「市民に素晴らしい夢を与えてくれた」とあいさつ。金沢スイミングクラブ小立野で木島選手を指導した島田順子さん(46)は「頑張る姿に感動した」とねぎらった。白山市スポーツ協会長の山下浩雅県水泳協会理事長は「木島選手は高校卒業まで石川で成長し、その後さらに飛躍した。地元水泳界の総合力も示した」と語った。