赤字続きの三セク、苦渋の運賃改定…通学定期は月5000円アップ「小遣い減るかも」「親に伝えるの心苦しい」 鉄路存続へ「やむを得ない」との理解も 肥薩おれんじ鉄道値上げ反応

AI要約

第三セクターの肥薩おれんじ鉄道が普通運賃を値上げすることを国土交通省に申請した。

利用者は負担増加を懸念する一方、存続のためには仕方がないと理解する声もある。

経営状況の厳しい中、おれんじ鉄道や利用者、関係者が対応策を模索している。

赤字続きの三セク、苦渋の運賃改定…通学定期は月5000円アップ「小遣い減るかも」「親に伝えるの心苦しい」 鉄路存続へ「やむを得ない」との理解も 肥薩おれんじ鉄道値上げ反応

 鹿児島県薩摩川内市と熊本県八代市を結ぶ第三セクターの肥薩おれんじ鉄道(八代市)は26日、普通運賃を40~140円(平均9.98%)値上げする改定を国土交通省九州運輸局に申請したと発表した。認可されれば10月1日から変更する。2004年3月の開業後、消費税率引き上げ分以外の改定は初めて。利用者からは負担増加を懸念する声の一方、「存続のためには仕方がない」と理解を示す意見も相次いだ。

 「親は今でも『きつい』と言っている。値上げを伝えるのが心苦しい」。鹿児島県阿久根市の高校3年生は困惑した表情だった。普段から家業を手伝うことが多く、「負担が増える分、親の手伝いを増やしたい」。同級生の双子も1カ月の定期券が1人約5000円上がると知り、「お小遣いが減るかもしれないが、仕方がない」と話した。

 資格取得の講習を受けるためほぼ毎日利用する薩摩川内市上川内町の男性(60)も「致し方ない」と理解を示す。経営が厳しい中、車両内の装飾やイベントで工夫しているのを日頃から感じている。「観光としての魅力を最大限に生かし、存続に向けて頑張って」とエールを送った。

 最寄りの西出水駅(出水市)から徒歩約5分の出水中央高校は鹿児島、熊本両県の生徒約50人が利用する。山下秀雄教頭は「値上げしない方が良いが、大変な経営状況では仕方がない」。他の生徒との平等性を保ちながら、学校でできる対応を考えたいという。

 おれんじ鉄道を巡っては、事業者や沿線7市町などで経営改善策を協議する未来戦略検討委員会が6月に初会合を開いたばかり。検討委の鈴木圭祐会長(鹿児島県交通政策課長)は「経費高騰など厳しい状況の中、やむを得ない。(検討委として)スピード感を持って対応したい」と話した。