藩主の墓、修復完了 富山・長岡御廟、8代前田利謙 初代の命日間に合う

AI要約

8月8日墓所祭が長岡御廟で行われ、能登半島地震で倒壊していた前田利謙の墓が修復された。

長岡御廟では、歴代富山藩主の墓が並び、利謙の墓は地震で石が崩れていたが修復された。

墓の修復は保存会により資金を充てられ、西群に利謙が祭られる墓所祭が営まれた。

藩主の墓、修復完了 富山・長岡御廟、8代前田利謙 初代の命日間に合う

  ●8月8日墓所祭

 歴代富山藩主を祭る富山市八ケ山の「長岡御廟(ごびょう)」で、能登半島地震で倒壊していた8代藩主前田利謙(としのり)の墓が修復された。長岡御廟では初代藩主の命日である8月8日に前田家の遺徳をしのぶ墓所祭が営まれている。関係者は墓の修復が間に合ったことに安堵(あんど)し、富山の歴史の一端を伝える前田家の遺産を守り、継承する意識を新たにしている。

 長岡御廟には、初代藩主利次から12代利聲(としかた)までの墓が並ぶ。利謙の墓は複数の石を積み重ねて作られており、高さは約3メートル。地震で石が崩れ、土を盛った土台の下まで落下した。

 維持管理に当たる長岡御廟保存会は、墓所祭までの修復完了を目指して石材業者を手配し、6月中に再び墓石を積み上げて戻した。修復には、保存会が御廟の維持管理用に確保していた資金を充てた。

 歴代藩主の墓は2区画に分かれて配置されており、西群に利次ら8人、北群に2代正甫(まさとし)ら4人が祭られている。墓所祭は利謙の墓がある西群で行われており、元の姿に戻った墓の近くで式典を営む。

 御廟内にある藩主の家臣が奉納した灯籠約500基のうち153基も倒壊しており、20基程度は修復された。完全復旧には相当な時間がかかるとみられる。保存会理事で、御廟にある曹洞宗真国寺の永田円了住職(75)は「藩主の墓は、富山の成り立ちを示している遺産の一つだ。墓所祭に間に合ってよかった」と話した。