鈴木知事と流域10市町長 初の意見交換会 スピード重視に一定理解、丁寧な説明求める声も【大井川とリニア】

AI要約

リニア中央新幹線トンネル工事を巡る鈴木康友知事と大井川流域10市町の首長との意見交換会が行われた。市町側はスピード感と慎重さのバランスを求め、水利用に関する損害補償についても議論が進んだ。

鈴木知事は中央新幹線のリニア事業を推進しつつ、流域への丁寧な説明を約束し、損害補償に関しても事業者責任を担保する方針を示した。

会合では市町側からの要望や懸念に応じる姿勢が見られ、JRとの具体的な協議を進める必要性が浮上している。

鈴木知事と流域10市町長 初の意見交換会 スピード重視に一定理解、丁寧な説明求める声も【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線トンネル工事を巡る鈴木康友知事と大井川流域10市町の首長との初の意見交換会が23日、静岡県庁で開かれた。市町側は、リニア事業推進に向けてスピード感を重視する鈴木知事の姿勢を尊重しつつ、流域への丁寧な説明を求めた。水利用に影響があった場合の損害補償を将来にわたってJR東海に求めるべきとの意見も相次ぎ、鈴木知事は「国の関わりも含めて文書でしっかりと事業者責任を担保する」と応じた。

 会合は冒頭を除いて非公開で約1時間45分行われ、終了後に出席者が取材に応じた。

 鈴木知事が就任1カ月足らずで山梨県のリニア工事を巡り山梨県、JRと取り交わした3者合意を念頭に「スピード感を持つ中でも慎重にやってもらいたい」(杉本基久雄牧之原市長)、「あまりにスピード感があって流域はついていけない」(染谷絹代島田市長)などの指摘が相次いだ。鈴木知事は「反省し、きめ細かく情報提供したい」と応じた。

 水利用の損害補償に関する意見に対して鈴木知事は「期限を決めずに事業者責任を担保するのは必要」と同調し、リニア着工に向けた最終判断の「大きな一つの要因になる」と踏み込んだ認識を示した。これには市町側から評価する声が上がった。

 補償を巡ってはJRが請求の受付期間を無期限とする考えを示したことがあるが、補償期間や因果関係の証明などについての具体的な協議は進んでいない。

 市町側からは、県とは別にリニア工事の環境影響評価の議論をJRとしている静岡市との連携を求める意見や、JRが対話に応じる姿勢を示している静岡空港新駅の整備費用負担に関する議論を進めるべきとの要請があった。

 森貴志副知事は岐阜県瑞浪市で発生したリニアトンネル工事が原因とみられる井戸の水位低下の問題について「山梨県内の静岡県境付近の断層を掘削することにより静岡県の地下水が流出するのではないかという本県の懸念と重なる」と指摘し、JRに詳細な原因分析や対策を求めているとした。