高校生がウナギ養殖に挑戦 福島・安積高の有志が成魚を販売、収益化目指す 

AI要約

安積高生徒有志が挑戦する「安高うなぎプロジェクト」では、ウナギの養殖に取り組んでいる。生徒たちは謎に包まれた生態や飼育法を探求し、成魚を販売して収益を得る取り組みを展開している。

プロジェクトでは致死率0%の飼育手法を確立するなど、新たな技術開発にも取り組んでいる。生徒たちは養殖を通じて失敗から学び、さまざまな課題に立ち向かっている。

将来的には成魚の販路開拓も視野に入れるなど、事業展開にも取り組んでいる安積高生徒たち。養殖への情熱や成果を活かし、活発な取り組みが続いている。

高校生がウナギ養殖に挑戦 福島・安積高の有志が成魚を販売、収益化目指す 

 福島県郡山市の安積高で生徒有志がウナギの養殖に挑戦している。謎に包まれた生態や効果的な飼育法を探求しつつ、成魚を販売して収益を研究費や運動部の活動費に充てようという「安高うなぎプロジェクト」だ。24日は土用の丑(うし)の日。安積高ブランドのかば焼きに舌鼓を打つ日も近い?

■業界も注目、致死率0%の手法を確立 

 昨年夏に始まったプロジェクトには生物部を中心に1、2年生約10人が参加する。校舎裏庭で容量2トンの水槽に稚魚約1000匹を放ち、飼育してきた。

 安積高は理数教育に重点を置く文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、プロジェクトには民間企業が100万円を助成。指導する遠藤直哉教諭(51)は「何よりも失敗から学ぶことが大事」と見守る姿勢に徹する。

 その結果、水槽では細菌感染が原因の大量死が発生。病死を克服する研究に着手した生徒たちは、抗生物質を溶かした薬液に3回浸すことで致死率を0%にする手法を見いだした。養鰻業界も注目する研究報告だという。

 薬浴治療で免疫力を高めて生き残った約100匹は冬場以降、ヒーターで水温を30度程度に維持できる室内の水槽に移した。本年度は、昨今の餌代高騰を踏まえて餌の魚粉を植物性タンパク質に置き換える研究に奮闘中。さらに今後は昆虫粉末を餌にした飼育に挑む計画だ。

 新たな養殖技術の確立を目指しつつ生徒たちは、成魚の販路開拓も視野に入れる。ウナギの販売は養鰻業者に限られるため「市内に1軒しかない事業者の協力を仰ぎたい」と2年吉田友朗さん(16)。出荷までに要する経費を計算し、損益分岐点の割り出しにも取り組む。

 水槽で旺盛な食欲を示すウナギは現在、体長30センチ前後に育っており、将来は販売益で課外活動の充実を目指す。ただ2年川崎友輝さん(16)は「ここまで育てると情が移ってしまい、自分は食べられないかも…」と苦笑いした。