子宮頸がん予防HPVワクチン、岐阜県が8月に接種集中啓発 「無料接種」年度末終了見据え

AI要約

2021年度末まで9年近く積極的な接種勧奨を中止していた子宮頸がんを予防するHPVワクチンについて、無償の「キャッチアップ接種」が終了するため、岐阜県では8月を啓発月として対象者への呼びかけを強化することになった。

HPVワクチンの定期接種が2013年に始まるも副反応が相次ぎ、中止されたが、22年4月に再開された。キャッチアップ接種は1997~2007年度生まれの女性が対象で、県内の接種率が低い状況。

県は8月に全県的な集中啓発を行い、子宮頸がんの予防効果や副反応について周知し、対象者に接種検討を促す取り組みを強化している。

子宮頸がん予防HPVワクチン、岐阜県が8月に接種集中啓発 「無料接種」年度末終了見据え

 国が2021年度末まで9年近く積極的な接種勧奨を中止していた子宮頸(けい)がんを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを巡り、接種の機会を逃した10~20代女性の救済措置として続けられている無償の「キャッチアップ接種」が本年度末で終了する。以降は自己負担となり、接種には最大約10万円が必要となることから、岐阜県は8月を集中的な啓発月間として対象者や家族に接種の検討を促していくことにした。県感染症対策推進課は「対象者への呼びかけを強化していきたい」と話した。

 HPVワクチンの定期接種は2013年4月から小学6年~高校1年の女子を対象に始まったが、全身の痛みやしびれなど副反応の訴えが相次ぎ、同年6月に厚生労働省が積極的な接種勧奨を中止。リスク(安全性)とベネフィット(有効性)を整理した結果、接種後に出た症状と接種の因果関係が証明されなかったとして22年4月に再開した。

 キャッチアップ接種は定期接種が差し控えられていた期間に接種対象の年代だった1997~2007年度生まれの女性が対象。定期接種の再開と同じ22年春にスタートしたが、県感染症対策推進課の計算によると、県内の接種率は6%ほどにとどまっている。公費負担は来年3月末までとはいえ、接種は3回で接種間隔を考えると計6カ月要することから、全ての接種を無償で行うには9月末までに1回目の接種を行う必要がある。そのため県は8月に全県的な集中啓発を行うことにした。

 啓発月間を見据え、県は県庁で市町村や保健所の職員らを対象にした研修会を開き、オンラインも含め約110人が参加した。講演では県医師会常務理事の磯貝光治医師が、20~30代の日本人女性の子宮頸がん発症率が年々増加していることを指摘。「これから妊娠を考えている人や子どもがまだ幼少の母親が発症しやすい『マザーキラー』の病気」と警鐘を鳴らした。世界保健機関(WHO)も接種を推奨しており、カナダやイギリスでは接種率が8割を超えていることも紹介。

 一方で副反応の報告は皆無ではなく、接種数百万回に1回の頻度で重い症状の報告があることも示しながら「絶対に大丈夫とは言えないものの、がんの予防効果が約9割というベネフィットを知ってもらいたい」とした。また、行政職員らに向けて、対象者が無関心や誤解、面倒さという壁を乗り越えられるよう働きかけを求めた。