バドミントン大堀彩選手「引退を踏みとどまれたのは福島県民のおかげ」掴み取った日本代表パリでの活躍誓う

AI要約

福島県出身の富岡高校出身の5人のバドミントン選手がパリオリンピックに挑む。地元への誇りや意気込み、選手たちの背景が語られる。

選手たちの壮行会や決意表明、福島県への感謝と恩返しが明かされ、大堀彩選手のオリンピック出場までの過程が描かれる。

大堀選手が自身の成長やメンタル面の強化、福島への報告への思いを語り、壮行会での応援や選手たちの決意が伝えられる。

バドミントン大堀彩選手「引退を踏みとどまれたのは福島県民のおかげ」掴み取った日本代表パリでの活躍誓う

パリオリンピックのバドミントンには、福島県の富岡高校出身の選手が5人出場する。選手たちにメダルへの意気込みを聞いた。そして、福島県への思いも語ってくれた。

<富岡町の誇り>

富岡高校があった双葉郡のすべての町と村では、5人のパリ出場を称える横断幕が掲げられている。地元からは「町民にとっては、希望の人たち」「すごく誇らしいですし、これからの復興も加速するんじゃないかな」との声が聞かれた。

<壮行会で語った決意>

2024年7月3日に、福島県富岡町で開かれた壮行会。やってきたのは…東京五輪銅メダリスト混合ダブルス渡辺・東野ペア。女子シングルス大堀彩選手。元世界ランク1位男子ダブルス保木・小林ペアの5人。

パリへ挑む5人へのメッセージがびっしり書かれた応援フラッグなどが手渡された。

渡辺勇大選手は「2回目の挑戦になるが、今度こそ皆様に少しでも勇気や感動を与えられるように精一杯プレーして、一番いい色の金メダルを持ち帰って、またこの場所でスピーチさせて頂けるように頑張りたい」と話し、保木卓朗選手は「パリオリンピックは、ホキコバの集大成として、しっかりと気迫あるプレーと攻めのスタイルを世界に披露したい。そして男子ダブルス史上初のメダル獲得がいま一番の目標なので、それを達成できるように頑張ってきたい」と話した。

<福島県出身の大堀彩選手>

そして福島への強い思いを打ち明けたのが、大堀彩選手。

「長年本当に結果が出ず、引退ということも考える時期もありましたが、最後になんとか踏みとどまれたきっかけは、福島県民の皆さまの存在だった」

福島県会津若松市に生まれた大堀選手は、バドミントンの強豪・富岡第一中学校へ進学するも、中学2年の時に起きた東日本大震災・原発事故で、福島県猪苗代への避難を余儀なくされた。

<結果で富岡へ恩返しを>

大堀選手は、長身をいかした上からの鋭いショットを武器に、3年連続で世界ジュニアの表彰台に立つなど、同世代をけん引した。

当時、高校2年生だった大堀選手は「将来もっともっと強くなって、オリンピックで金メダルをとって、富岡町民の皆さんに良い報告が届けられればいいな」と語っていた。

しかし、簡単ではなかったオリンピックへの道のり日本。A代表からB代表への降格も味わうなど、社会人になってからは苦しい時期が続いた。大堀選手は「1年前までの自分自身を振り返ると、翌年のオリンピックで自分が出場してプレーしている姿など全く想像できなかった」という。

<掴み取った日本代表>

2023年5月から1年間かけて行われた、パリオリンピックの選考レース。国際大会で獲得したポイントによって代表が決まり、シングルスは日本から最大2人。2枠目は選考レースのランキングで、世界16位以内に入ることが条件だった。

レース直前の世界ランキングを見ると…日本のエース・山口選手が1位。リオ銅メダリストの奥原選手が14位。大堀選手は日本5番手の31位だった。

しかし、いざレースが始まるとアジア大会で銅メダルに輝くなど、ポイントの大きな大会でも結果を残し、見事に代表の座を射止めた。

<メンタル面の成長>

大堀選手に代表を勝ち取れたと思う要因について聞いてみると…「メンタル面での成長かなと。自分自身、実感している部分はある」と話してくれた。監督・コーチとしてともに歩んできた父・均さんは「点数がどんなに離れていても諦めない。目の前の一本だけ頑張るという姿勢を、最後の最後まで貫いた結果が、オリンピックというところに繋がった」という。

<何度も口にした「恩返し」という言葉>

夢の舞台への切符を掴んだ大堀選手。この日、何度も口にしたのは”恩返し”という言葉だった。

「福島で生まれ育って、福島の皆さんには人一倍、誰よりも強い恩返しをしたいと思っている。そういう意味で、パリの舞台で福島県にいい報告ができるように頑張っていきたいと思っています」

大堀選手を小学生時代から応援するファンが「今まで頑張ってきたので、とにかく楽しんでください。ケガしないように」と言うように、壮行会に駆け付けた人たちから溢れんばかりの思いを受け取った選手たち。”富岡魂”を胸に、パリへと向かう。