栃木・那須烏山「山あげ祭」を支え、盛り上げる 伝統継承に若い力、26日開幕へ奮闘

AI要約

栃木県那須烏山市内最大のイベント「山あげ祭」の開幕が26日に迫る。烏山市街地各所で、可動式舞台での野外歌舞伎を昼夜問わずに披露する“過酷な”祭り。

「山あげ祭」の継承に奮闘する若者たちの思いが語られる。若衆たちの活動や祭りへの取り組みが紹介されている。

憧れの舞台に立つ若者たちの物語や、伝統文化を守るための努力が明かされている。

栃木・那須烏山「山あげ祭」を支え、盛り上げる 伝統継承に若い力、26日開幕へ奮闘

 栃木県那須烏山市内最大のイベント「山あげ祭」の開幕が26日に迫る。烏山市街地各所で、可動式舞台での野外歌舞伎を昼夜問わずに披露する“過酷な”祭り。全国の伝統文化と同様に少子化などの影響で担い手不足が問題となる状況の中、祭りを継承しようと奮闘する若者たちの思いを聞いた。

 「恩返し」で若衆に加入 小暮隼也さん

 当番町・仲町の若衆で、歌舞伎舞台の一部「前山・雲」の責任者を務める埼玉県神川町元阿保、団体職員小暮隼也(こぐれとしや)さん(26)は市外出身。帝京大宇都宮キャンパスの地域経済学科2年生だった2017年、「山あげ祭がまちにどのような影響を与えているか」をテーマとしたゼミ研究をきっかけに祭りを知った。

 活動の一環で、その年の当番町だった仲町若衆を手伝うことに。事前の準備や祭り当日、若衆は「大丈夫?」「疲れてない?」などと学生たちを気遣い、快く受け入れてくれた。

 翌年以降も祭りを訪れ、屋台引きに加わるなどした。筆頭世話人の山内崇(やまうちたかし)さん(51)ら若衆は毎回温かく迎えてくれ、今では市を「第2のふるさと」のように感じている。「良くしてもらっている分、何か恩返しを」と、若衆に入った。

 ことしの祭りで小暮さんが責任者を務める部署は、歌舞伎のクライマックスで重要な役割を担う。「まちの人たちが誇りを持って続けてきた祭り。自分が汚さないようにしたい」と強い決意をにじませた。

 憧れの舞台引き立てる 藤田華叶さん、太陽さん姉弟

 若衆が組み立てた舞台で奉納余興の歌舞伎を披露するのが烏山山あげ保存会芸能部会。踊りや三味線を担う高根沢町宝石台4丁目、会社員藤田華叶(ふじたはるか)さん(22)は、保育園年中児のころに初めて祭りを観覧した。舞台上で輝く演者に憧れ、自身も踊りの門をたたいた。

 踊りを始めてから15年ほど。三味線の音色と踊りの間が合い、舞台に一体感が生まれる瞬間の楽しさを覚えた。仕事と稽古の両立は楽ではないが、「伝統ある山あげ祭を自分たちの代で廃れさせない。若衆で頑張る同級生もいる。自分だけ休んでいられない」と力強く語った。

 姉の華叶さんの影響で芸能部会に入った大学2年太陽(たいよう)さん(19)は鳴り物の大太鼓を主に担当する。小学校低学年ころから鳴り物に親しみ、「各楽器それぞれの音色に奥深さがあり、歌舞伎の場面場面を引き立てる」と鳴り物の重要性を説明する。

 「踊りが注目されがちだが、陰で支えている鳴り物にも目を向けてみてほしい」と呼びかけている。