天国の先生に届けよう! 私たちの大きな歌声 OBも駆け付け一丸、450年の伝統を地域の児童が今年も紡ぐ 23日、加世田・竹田神社で稚児踊り

AI要約

鹿児島県南さつま市の加世田小学校児童51人が、23日の竹田神社夏祭りで伝統の「稚児踊り」を奉納する。今年は歌を先導する3人の「歌上げ」に女児が初めて加わり、田端耕一さんの急逝を受けて卒業生が応援している。

稚児踊りと二才(にせ)踊りを合わせた「士踊り」は450年の歴史を持ち、女児も門戸が開かれて参加。女児初の歌上げは大きな注目を集めている。

田端耕一さんは12年間にわたり歌の指導を行っていたが、急性肺炎で亡くなり、保存会や児童たちに深い悲しみが広がっている。

天国の先生に届けよう! 私たちの大きな歌声 OBも駆け付け一丸、450年の伝統を地域の児童が今年も紡ぐ 23日、加世田・竹田神社で稚児踊り

 鹿児島県南さつま市の加世田小学校児童51人が、23日の竹田神社夏祭りで伝統の「稚児踊り」を奉納する。約450年の歴史の中で今年は歌を先導する3人の「歌上げ」に女児が初めて加わる。練習が熱を帯びる中、歌の指導者田端耕一さん=享年78歳=が急逝。訃報を受け卒業生が応援に駆け付け、「先生にいい歌を届けよう」と一丸となっている。

 稚児踊りと二才(にせ)踊りを合わせた「士踊(さむらいおど)り」は県無形民俗文化財。島津日新公忠良が長男・貴久を慰安するために始めたとされる。稚児踊りは太鼓やカネと歌を交互に繰り返し円を描いて回る。昨年から女児にも門戸が開かれ、小太鼓や歌子で参加した。女児初の歌上げとなったのは4年牧山友莉奈さん。立候補者8人の中から、選考会でいずれも4年の大久保陽泰さん、川路和輝さんとともに選ばれた。

 田端さんは12年前から歌の指導に加わった。楽譜はないため実際に歌ってみせた。温厚で優しく「稚児先生」と慕われたという。6月6日にあった今年1回目の練習後に体調不良を訴え8日に入院。12日に急性肺炎で亡くなった。

 妻・順子さん(76)は「子ども好きで、昔踊った稚児踊りに特に思い入れが深かった」と振り返る。保存会の木原南会長(82)も「まじめで一生懸命。残念でならない」と悼む。

 歌上げを3回務めた加世田中1年赤木翔哉さんは練習を手伝っており、「間違えても『大丈夫』と優しく励ましてもらった。先生のためにも何かできればうれしい」。牧山さんは「大きな声で歌ってねと初日に習った。もっと教えてもらいたかった。本番はみんなが聞こえるよう歌いたい」と誓った。