産官学連携で医療技術、機器の開発へ 拠点構築の第一歩「バイオメカ社」設立【宇部】

AI要約

山口大学と宇部市が合同会見を開き、山口大発ベンチャー企業「バイオメカ・トライテック」の設立を発表。医療機器開発センター構想や伸和精工との取り組みも紹介。

バイオメカ社は生体シミュレーションなどを専門とし、医療機器開発のスピード化を目指す。伸和精工は体内埋め込み型の椎体間固定器具の開発に着手。

宇部市はこれらプロジェクトの支援を表明。「新産業を育成し、地域経済を活性化させる取り組みを進めたい」と市長が述べた。

産官学連携で医療技術、機器の開発へ 拠点構築の第一歩「バイオメカ社」設立【宇部】

 山口大(谷澤幸生学長)と宇部市は19日、市役所で合同会見を開き、工学部内に同大発ベンチャー企業「バイオメカ・トライテック」(陳献社長、以下バイオメカ社)の設立を発表した。併せて、同大と伸和精工(柳井宏之社長、二俣瀬山中)による医療機器開発に向けた取り組み開始も発表。同大が進める地域連携型の医療技術・機器開発研究拠点構築への動きが市内で本格化する。

 

 人工関節など治療系機器製造における国内企業の世界シェアは4%程度であることから、同大は医学部、工学部、共同獣医学部の連携の下、医療技術・機器開発センター構想を立ち上げた。新たな技術と機器の開発、その治験を医学部、技術的解決策を工学部、動物臨床試験などを共同獣医学部で担い、試作の製作などを県内企業に委託。県内で医療機器の開発、製造、販売まで行うことを目指している。

 

 バイオメカ社の設立はその第一歩となる。陳社長は3月まで工学部教授を務め、生体力学シミュレーションなどを専門としてきた。同社の事業内容は、医療機器開発で必要な、国の認証機関による承認を得るためのデータをコンピューター解析する生体シミュレーションなど。従来の動物実験、物理実験では長い時間と膨大な費用がかかっていたが、デジタル技術を応用することで、医療機器開発の探索・開発段階のスピード化が図られる。

 

 伸和精工は、これまでも同大医学部と共同で製品開発や研究を行ってきた。今回は、同社の強みである超精密加工技術を生かし、体内埋め込み型の椎体間固定器具の開発に取り組む。今年度中に、県知事登録が必要な医療機器製造業に登録し、将来的には医療機器製造販売業の許可を受けて、製作医療機器市場への流通を目指すという。

 

 市はバイオメカ社、同大の医療技術・機器開発センター構想を支援していく。篠﨑圭二市長は「人材育成機関と産業が集積する地域特性を生かした成長産業推進への取り組みが進んでいることをうれしく思う。大学があり、技術を持つ企業があるからこそできるプロジェクト。新産業をつくり、地域経済を回すサイクルを今後も続けていきたい」と述べた。