守山の美術館で日本画家・高山辰雄展 「作風の変化を見てほしい」

AI要約

佐川美術館で開催中の「高山辰雄展」では、日本画家・高山辰雄さんの70年以上の作品を88点展示している。

展示は前期後期で入れ替え、『聖家族』シリーズなどが特に焦点となっており、作風や心境の変化を追求している。

来館者は高山さんの作風の変化や絵の具の変色などに興味を持ち、作品の魅力を堪能している。

守山の美術館で日本画家・高山辰雄展 「作風の変化を見てほしい」

 日本画家・故高山辰雄さんの作品を展示する「高山辰雄展」が現在、佐川美術館(守山市水保町北川)で開催されている。(びわ湖大津経済新聞)

 高山さんが70年以上の創作活動の中で描いた88点の作品を前期後期で入れ替えて展示する。展示では、1976(昭和51)年から1993(平成5)年まで描き続けた23点の「聖家族」を頂点と捉え、「聖家族」制作に至るまでの作風や心境の変化に迫る。高山辰雄展は滋賀県では初めての開催となる。

 美術学校時代の緻密に描かれた作品から、ポール・ゴーギャンの伝記を読み、作風にも影響を受けた1950(昭和25)年ごろの作品、人間の内面を表現し、独自の画風を確立していく1970(昭和45)年以降の作品などを展示している。

 同館学芸員の栗田頌子さんは「70年の作家人生の中で、かなり画風が変わっている。東山魁夷、杉山寧と共に『日展三山』と評され美術界で地位を築いてからも新しいことに挑戦している。作風の変化も感じてもらえれば」と話す。

 栗田さんは絵の具の変色について「これも高山の挑戦ではないか」と話す。「聖家族XVII」に描かれている父親、母親、子どものうち、制作から30年がたち、子どもだけがセピア色に変色してきた。「最初に変色に気付いた学芸員は驚き、焦りを感じたというが、子どもだけが変色して浮かび上がってきたので、これは意図的だろうと結論づけた。高山も生前、『作品は成長していくもの』と言っていた。自分の死後も絵が生き続け、変化し続けるように変色する画材を使って仕込んでいたのではないか」と話す。

 枚方市から来館した女性は「作風が変わっていくのが面白い。色彩が淡く、落ち着いて見ることができる。絵の中にある星が本当に輝いているようで印象的」と話す。

 開催時間は9時30分~17時(入場は16時30分まで)。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入場料は、大人=1,200円、高校生・大学生=800円、中学生以下無料(要保護者同伴)。事前にウェブサイトで予約が必要。前期展示は8月12日まで。9月23日まで。