「まず、命を守るため」 大雨のたびに遮断されるフェリーや国道…災害・救急時に欠かせない〝動脈〟必要 大隅半島玄関口の市長が錦江湾横断道路を必要と訴える理由と課題

AI要約

桜島と鹿児島市街地を結ぶ錦江湾横断道路構想への取り組みが大隅半島で活発化している。地域の玄関口である垂水市の市長が長年、横断道路の必要性を訴えてきた。構想が実現すれば医療・防災面での恩恵だけでなく、観光・経済面でも大きな影響をもたらす可能性がある。

市の魅力や賑わいを高め、人口減少への対策として交流人口を増やすことが重要とされている。道路整備が進めば、大隅半島全体の魅力を発信し、より住みやすい地域へと発展する期待がある。

構想の実現方法については意見が分かれているが、協力して柔軟で幅広い検討を進める必要がある。関係団体間の協力・協議を通じ、横断道路の実現に向けた具体的な方策を模索することが求められている。

「まず、命を守るため」 大雨のたびに遮断されるフェリーや国道…災害・救急時に欠かせない〝動脈〟必要 大隅半島玄関口の市長が錦江湾横断道路を必要と訴える理由と課題

 桜島と鹿児島市街地を結ぶ錦江湾横断道路構想。昨年から実現を求める動きが大隅半島で活発化している。県が2021年、高規格道路としての役割が期待されるものの終起点が決まっていない「構想路線」に位置付けたが、その後の見通しは不透明だ。鹿児島県垂水市の尾脇雅弥市長(57)は“大隅半島の玄関口”の首長として長年、横断道路構想を考えてきた。実現を求める動きが活発化する中、課題や展望を聞いた。

 -市議時代から横断道路構想を掲げてきた。

 「一番は命を守るためという思い。フェリーや海沿いの国道220号は、大雨や台風の災害でストップすることもある。医療面、防災面で、桜島の住民や、鹿児島市に渡る救急患者が助かるために訴えてきた」

 -その上で経済効果もあると考えている。

 「新型コロナウイルス禍を経て鹿児島市のマリンポートに再びクルーズ船が寄港するようになった。横断道路で半島がつながり、仮に志布志港にも寄港できれば、県全体で観光客の流れが活性化する。鹿児島のリピーターも一定数いると聞く。新鮮な観光を提供できるポテンシャルが大隅半島にはある」

 -県都に近づくことで、人が鹿児島市に吸い寄せられる懸念もある。

 「人口減少は、大隅半島だけでなく国全体の課題でもある。まずは『交流人口』を増やすことで経済効果を生み出し、稼ぐ力を向上させたい。垂水市では二つの道の駅を整備し、交流人口を年間最大で約196万人に伸ばした。自然や食の魅力を発信し、海を渡るハンディがなくなれば、より住みよい地域になれるはずだ」

 -大隅半島の足並みがそろうにはどうすればいいか。

 「架橋なのか、海底トンネルなのかさまざまな意見があるが、半島をつなぐという目的は同じだ。専門的な知見ではないが、例えば、桜島と薩摩半島の中間地点にある神瀬灯台を起点に橋とトンネルのハイブリッド案はどうだろうか。機運が高まる中、これからは改めて柔軟で幅広い検討を活性化させることが重要だ。運動団体間で平場の話し合いが増えればいい」