片山副知事が辞表提出 「知事はコミュニケーション能力不足」と苦言 元県民局長文書問題

AI要約

兵庫県の斎藤元彦知事らに「違法行為があった」とする告発文書を作成した元西播磨県民局長の男性(60)が死亡した問題に関連して、副知事が辞表を提出し、知事は辞職を否定。

副知事は知事に辞職を進言するものの、知事は任期を全うしたいとの考え。知事のコミュニケーション不足や信頼関係の問題が明らかに。

文書問題の背景や知事のパワハラ疑惑について相違意見があり、副知事は辞任する決断。知事は責任を取る意向を示すものの、後任の充て置きについては現時点で決定せず。

片山副知事が辞表提出 「知事はコミュニケーション能力不足」と苦言 元県民局長文書問題

 兵庫県の斎藤元彦知事らに「違法行為があった」とする告発文書を作成した元西播磨県民局長の男性(60)が死亡した問題などを受け、片山安孝副知事が12日、斎藤知事に辞表を提出した。片山氏は「県政の混乱と停滞が続き、副知事として責任を取る必要がある」と理由を語った。これを受け、斎藤知事も会見し「道は険しいかもしれないが、県政を前に進めるのが私の責任だ」と述べ、改めて自身の辞職を否定した。

 片山氏は6月上旬以降、5回にわたって知事に辞職を進言してきたと明かした。直近で前日の11日にも「一緒に退職する考えはありませんか」と提案し、斎藤知事からは「選挙で県民の負託を受けた身であり、任期を全うして頑張りたい」との返答があったという。

 片山氏は「政治家の出処進退は本人が判断するもの。知事の判断は尊重したい」とした一方で、「この混乱を招いた責任は、誰かが取らないといけないと考えた」とし、責任の取り方に対する考えが違うと説明した。

 片山氏は斎藤知事が就任した翌月の2021年9月から、副知事職に就いた。約3年間を振り返り「知事はコミュニケーション能力が不足していた」と苦言も呈し、文書問題の背景には、県議会や県職員との信頼関係が築けなかったことがあるとの考えを示した。また、文書で指摘された知事のパワハラ疑惑などは「把握していない」としたが、知事と職員の間に「距離があった」とも指摘した。

 一方、その後に会見に臨んだ斎藤知事は、筆頭副知事だった片山氏の辞職表明を「大変重い申し出と受け止めた」としつつ、自らの進退を問われると「県政の立て直しが責任」と繰り返した。

 また、自身の疑惑を告発した元県民局長の文書を「うそ八百」とした発言について「きつい言い方で今は反省している」と釈明した。

 片山氏の退任時期は今月31日付という。県議会との調整を担っていた片山氏が不在になれば、副知事は服部洋平氏だけとなる。斎藤知事は「要所では私自身が議会に政策の内容を説明することも大事だと考えている」とし、現時点で速やかに後任を充てる考えはないとした。

(前川茂之、金 慶順、鈴木雅之、井沢泰斗)

【元西播磨県民局長の文書問題】3月中旬、兵庫県の西播磨県民局長だった男性(60)が、斎藤元彦知事や県幹部らの言動を「パワハラ」「違法行為」などと告発する文書を報道機関などに郵送。県は男性を解任し、斎藤知事は文書内容を「うそ八百」などと批判した。県は5月に男性を停職3カ月の懲戒処分としたが、内部調査の客観性が疑問視され、県議会は6月、地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委員会)を設置。男性は7月19日に証人として出席する予定だったが、7日に亡くなっているのが見つかった。関係者によると、自死とみられる。