「父も労災記録も戻ってこない」アスベスト吸い込み死亡の男性 労基署が記録廃棄 国に賠償命じる判決

AI要約

男性がアスベストによる健康被害で亡くなり、労基署が誤って労災記録を廃棄した遺族が国を訴えた裁判で勝訴。

労基署の保存誤りを指摘し、国に賠償を求めた遺族の主張が認められた。

全国初の事例であり、アスベスト関連の文書廃棄問題に改善を求める声が広がっている。

「父も労災記録も戻ってこない」アスベスト吸い込み死亡の男性 労基署が記録廃棄 国に賠償命じる判決

アスベストによる健康被害で死亡した男性の遺族が、労災記録などの文書を労基署が誤って廃棄したのは違法として国を訴えた裁判で、神戸地裁は遺族の訴えを認めました。

訴状などによると、兵庫県三木市の男性は、建築現場で働く中でアスベストを吸い込み、2003年、中皮腫で亡くなりました。

加古川労基署は労災認定したものの、保存が望まれる調査記録を誤って廃棄。

遺族は「被害を立証する資料を失った」として、国に廃棄の違法性を訴え、およそ300万円の損害賠償を求め提訴していました。

11日の裁判で神戸地裁は「(記録の)保存期間を延長しなかったことは著しく合理性を欠く」とし、原告の訴えを認め、国に1万1000円の支払いを命じました。

弁護団によると、保存すべき公文書の誤廃棄で国賠法上の違法性が認められたのは全国初だということです。

【弁護団】「極めて画期的な勝訴であると受け止めています」

国の調査によると、アスベストに関する文書の廃棄は全国で6万4000件に上るということです。

原告は「父も労災記録も戻ってこないが、二度と同じようなことにならないよう改めて対策をしてほしい」とコメントしています。