「暑い熊本県庁」26年ぶり改善? 設定温度下げ仕事の「能率アップ」 時間外オフは変えず

AI要約

熊本県庁内の冷房環境を見直す取り組みが進められており、職員の執務室や応接室、会議室の設定温度が低くなる変化が起こっている。

環境に配慮しつつ、快適な働きやすい環境を整えるため、28度を堅持してきた設定温度を26年ぶりに変更する決定が下された。

職員からは、冷房が改善されることで仕事の能率向上が期待されており、熊本市役所との違いも見られるなど、様々な視点が示されている。

「暑い熊本県庁」26年ぶり改善? 設定温度下げ仕事の「能率アップ」 時間外オフは変えず

 「暑すぎて熊本県庁には行きたくないという県民もいる」。熊本県の木村敬知事の発言を機に、県は庁舎内の冷房環境の見直しを進めている。来客が多い応接室や会議室の設定温度を従来より低めに変更。職員の執務室でも設定を低くしたり、空調の風量を強めたりして室温を下げる。地球温暖化対策の京都議定書を受け、県は1998年から「室温28度」を堅持してきたが、26年ぶりの変化となる。

 木村知事は5月下旬の定例記者会見で「環境に影響しない範囲で、来庁のしやすさと、快適な執務環境による仕事の能率性アップを図りたい」と語り、担当課に検討を指示した。

 県庁の冷暖房は本館、新館とも地下の中央制御装置で調整している。夏は室温が28度を超えないよう管理しており、設定温度はおおむね25~26度。県財産経営課によると、実際の室温のデータはないが、階数や熱を発する機器の有無、人の密度などによって28度を上回る部屋もあるという。

 知事の指示を受け、同課は5月下旬から応接室や会議室などがある本館5階を中心に1~2度低く設定。職員の執務室でも外気温に応じて設定温度を下げたり、風量を強めたりする運用を始めた。冷房の稼働期間も従来の「10月15日まで」から「10月末まで」に延ばす。試算では冷房を1度下げるごとに、電気代は年間800万円ほど増える見込みだという

 本館で勤務する30代の男性職員は「これまで、夏場には冷房が稼働していても机の上の資料に腕が触れると汗で湿ってしまうほどだった」と言う。時間外になると冷房が止まるため「快適な環境で能率を上げ、仕事を早く終わらせる方がいい」と改善に期待する。

 熊本市役所の場合、室温が28度以下になるように各フロアごとに調整している点は県と同じ。ただ、職員の執務状況に応じて時間外も稼働させているという。

 県庁は平日の時間外や休日も作業する職員の姿が目立つ。県財産経営課は時間外の空調について「できるだけ定時で退勤してもらう趣旨から、災害時などを除いて稼働時間の延長は考えていない」としている。(樋口琢郎)