子供優先 母親も無理なく 女性9割の製造業現場も「人手不足の悩みなし」 中原精密(静岡市)

AI要約

部品加工業の中原精密は設立40周年を迎え、女性従業員が40人中40人を占める珍しい製造業界の企業である。

同社では子供を最優先し、母親も無理なく働ける環境を提供しており、人手不足の悩みもない。

従業員たちは高度な金属加工を手がけながら、家庭と仕事を両立させるための勤務体系が整備されている。

子供優先 母親も無理なく 女性9割の製造業現場も「人手不足の悩みなし」 中原精密(静岡市)

 設立40年を4日に迎えた部品加工業の中原精密(静岡市駿河区)は、従業員45人のうち女性が40人を占める。“男社会”と思われがちな製造業の現場で女性が機械を操り、ミクロン単位の緻密な金属加工も手がける。創業以来、近所の主婦を集めて生産を続けてきた同社の軸は「子供が最優先」。子育て中の母親も無理なく働ける職場は、今も「人手不足の悩みはない」という。

 長さ2センチほどの金属部品を、回転するヤスリに当てて削る―。きれいに整頓が行き届いた工場で、細かな手作業を繰り返す従業員。「仕事が丁寧で繊細、根気も強い。女性ならではの良さを感じている」。岩崎篤社長(54)が目を細める。半導体装置や医療機器などの部品を仕入れて2次加工する同社は、多様な約90台の機械と1ミクロン(千分の1ミリ)レベルの高い技術力で顧客のニーズに応える。

 1984年の会社設立当初、少年だった岩崎社長は「友達のお母さんも働きに来ていた」と思い返す。子供の急な発病や学校行事などがあれば早退し、昼休みには食事を作りに帰宅する。母親が家庭と仕事を両立できる職場環境は、先代社長で父の道男さん(故人)から受け継いでいる。

 現従業員は平均36歳。勤務体系は時間や希望する所得などに応じて細分化し、従業員同士で支え合う関係も定着している。勤続15年の二宮紀美子さん(54)は「社会人の子供が小学生の時から世話になっている。家で何かあれば休めるし、仕事しながら子育てもスムーズにできた」と語る。

 同社は今年、パート従業員でも能力に応じて製造、総務の管理職を任せる仕組みを導入した。岩崎社長は「すごいスキルを持っている人は多い。男性でも女性でも、やりがいを感じられる活躍の場を用意したい」と職場の充実を図る。