10年目迎え最後の勉強会 絶滅危惧種「アゼオトギリ」 三重・多気町役場で

AI要約

多気町で開催されたアゼオトギリの保全勉強会が終了し、種子保存や10年の活動報告書の作成を確認。

アゼオトギリは絶滅危惧種であり、保全団体や行政が関わる活動で生息地の保全を図る。

種子保存や活動報告書作成のための作業が進められ、参加者たちは移植地で作業を行った。

10年目迎え最後の勉強会 絶滅危惧種「アゼオトギリ」 三重・多気町役場で

 夏ごろ直径1センチほどの黄色い花を咲かせる絶滅危惧種「アゼオトギリ」の第14回保全勉強会(座長・平山大輔三重大学教授)が6月29日午後1時から、三重県多気郡多気町相可の町役場であり、自生地での個体数の減少などを踏まえて種子を長期保存するため環境省に送ることや、約10年にわたる保全活動を報告書にまとめることなどを確認した。また2015(平成27)年の第1回勉強会から10年の節目を迎えたとして今回を最後の開催とした。

 アゼオトギリは田んぼのあぜなど湿った土地に育つ多年草。環境省のレッドリストで近い将来、野生での絶滅の危険性が高い「絶滅危惧IB類」に指定されている。県内では絶滅したと考えられていたが、13(同25)年に多気町の佐奈川沿いで、約半世紀ぶりに発見された。その保存を目的に、15(同27)年に同勉強会が設立され、町内で保全活動をする団体や行政などで毎年集まっている。

 この日は、主催の国土交通省三重河川国道事務所と多気町、プランターなどで独自に栽培して生態を研究している佐奈川を美しくする会などからオンラインを含めて約40人が参加。事務局が町内の自生地と移植地の10年以上にわたるモニタリングの調査結果などを報告。主に人の手が加わるなどして環境がかく乱されることで生育が促される「かく乱依存種」であることが裏付けられたことなどを改めて示した。

 その上で、自生地で今秋に採取する種子を冷凍して長期保存するため、環境省の新宿御苑管理事務所に送付すると伝えた。種子保存は、同省がレッドリストに記載の植物を対象に、種子を生息域外で保存して絶滅を避けるため関係団体などに協力を呼び掛けている。

 また、保全活動が10年目の区切りを迎えたため、これまでの活動記録や自生地や移植地のモニタリング結果、栽培マニュアルなどを報告書にまとめることも確認した。その後、参加者たちは移植地に移動し、アゼオトギリ周辺の草刈り作業などをした。

 事務局の三重河川国道事務所は「勉強会は最後になるが、各種団体の活動は継続されるので、なんらかの形で情報共有を図れれば」としている。