低山×ひとっ風呂 自然と絶景 夏ハイク 静岡県西部編

AI要約

茶の文字が山腹に突き出る掛川市の粟ケ岳とその魅力。地元で親しまれる山の登山仲間のエピソードや眺望、滝の存在などを紹介。

掛川市と袋井市にまたがる小笠山の魅力とハイキングコース。豊かな植生や動植物に出会える山中の魅力と注意点を紹介。

ハイキング後の温泉入浴スポットとして倉真温泉と和の湯を紹介。山を楽しんだ後のリフレッシュ方法を提案。

低山×ひとっ風呂 自然と絶景 夏ハイク 静岡県西部編

 本格的な夏の到来を控えた時季。身近な低山に登って景色を楽しんだら、下山後は温泉に漬かって汗を流したい。今回は県西部でハイカーに親しまれている標高千メートル以下の三つの山を選び、トレッキングコースと周辺の入浴スポットを巡った。

 新東名高速道を走っていると、目に飛び込んでくる山腹の巨大な「茶」の文字。掛川市の粟ケ岳(標高532メートル)のシンボルで、多くの人に親しまれている。

 地場産品などを販売する麓の休憩所「東山いっぷく処」そばに車を止めて出発。同所の壁には登頂回数を記録した木札がかかり、中には2千回超えの人も。茶畑を縫うように続く道を歩き、高度を上げていく。

 「春は茶畑が若草色に染まり、冬は空気が澄んで伊豆諸島まで見えることもある。いつ来ても違った魅力を感じる」と語るのは通算千回以上の登頂歴を持つ倉見宣雄さん(75)=森町=。登山仲間で昨年から通う窪田真由美さん(56)=菊川市=も「途中で開けている場所が多く、眺めの良さが素晴らしい」と話す。

 眼下に大井川や伊豆半島を望む山頂の「世界農業遺産茶草場テラス」で絶景を堪能して下山するのもよいが、山中の「松葉の滝」まで足を延ばす手もある。急な坂道を通ってたどり着く滝で見る、豪快な水しぶきは格別だ。

 下山後は西側の麓にある倉真温泉(掛川市倉真)へ。翠月、真砂館、落合荘の3旅館で日帰り入浴ができる。利用可能日時などは要確認。

 掛川市と袋井市の境にある小笠山。標高は265メートルと低いが山域は広く、地形は変化に富む。両市からハイキングルートが延び、初心者から健脚向けまで多彩なコースを選べる。

 今回は、掛川市の富士見台霊園を発着点に山頂や小笠神社を周遊するルートを想定した。霊園から案内標識に従って道路を歩き、与左衛門池方面に進む。池付近からは本格的な山道へ。森の中は鳥のさえずりがにぎやかだ。小笠山を愛する協議会の中山幸男代表(76)は「植生が豊かで、特にシダは種類が豊富。四季折々、さまざまな動植物と出合える」と話す。

 一登りしたら景勝地「六枚屏風[びょうぶ]」に向かう。雨水の浸食でできた切り通しのような地形が連なる様子は圧巻。ただ、屏風に至る道の一部は崖上で細く、転落の危険がある。屏風内でも落石や崩落に十分注意したい。山頂を踏み、戦国期の小笠山砦[とりで]の遺構や神社を回る。展望台というポイントで掛川市街や南アルプス、富士山を眺めて戻ろう。

 気軽に楽しむなら小笠神社近くの駐車場からのルートも。下山後の入浴は、琥珀[こはく]色の湯が自慢の「和[やわらぎ]の湯」(袋井市諸井)が便利だ。