「ふじのくに防災士」3000人超に 静岡県が養成、認証 団体での活動拡大

AI要約

2010年度の制度開始から23年度末までに3千人を超える「ふじのくに防災士」が認証されたことが報告されている。地域の防災リーダーとして活躍する一方、活動方法に悩む人もいる。

防災人材育成プログラムは1996年に始まり、再開された2005年からは認証制度が導入され、約3000人が知事の認証を受けたことが明らかになっている。

市町単位でふじのくに防災士がグループを結成し、活動を展開する例が増えており、浜松市や菊川市などで積極的な防災活動が行われている。

「ふじのくに防災士」3000人超に 静岡県が養成、認証 団体での活動拡大

 地域の防災リーダーとしての活動が期待されている「ふじのくに防災士」の認証数が、2010年度の制度開始から23年度末までに3千人を超えた。学んだ知識を生かし、自主防災組織や防災の各種活動などで活躍する人がいる一方で、活動方法が分からないなどの悩みを抱える人も多い。浜松市や菊川市などでは市町単位でふじのくに防災士がグループをつくり、活動を展開する例が広がりを見せている。

 防災人材の育成は阪神大震災後の1996年度に全国に先駆けて始まった。一時中断したが、2005年度に再開し、10年度に認証制度を導入した。毎年度150~200人程度が受講している。23年度末までに3631人が講座を受け、要件を満たした3088人が知事の認証を受けた。

 5月中旬、「ふじのくに防災士菊川市委員会」が東日本大震災の津波を題材にしたドキュメンタリー映画を同市で自主上映した。会は18年3月に結成され、約20人が所属。市民への防災訓練や行政の依頼を受けた防災講話などを活発に行っている。代表の杉山哲昭さん(49)は「1人で活動ができる人ばかりではない」と強調する。

 藤枝災害支援ネットワーク代表の吉田令子さん(68)も当初は「周りに相談できる人がおらず悩んだ」と明かす。周囲に認証を受けたきり、活動がないまま足が遠のいた人もいたという。吉田さん自身は、災害時のトイレ問題などの視点で活動を試行錯誤する中、活動依頼が徐々に増えてきた。一方で「市町単位で防災士がまとまれば、より他の団体と連携しやすくなる」とメリットを挙げる。

 菊川市のほかに市町単位でのグループがあるのは三島市や掛川市、松崎町など。5月には新たに浜松市で「浜松防災士会」が誕生し、同市在住・在勤者を対象にメンバーを募集している。代表の山岡美須永さん(71)は「意欲があっても暗中模索している人が多い。スキルアップできる団体を目指したい」と意気込む。

 県が22年度に行った自主防災組織実態調査では、防災人材の存在を「知っている」と答えた人は53%だった。活用については「したことがない」は57・7%に上り、十分な活用ができていない現状がある。菊川市委員会代表の杉山さんは「修了後のフォローアップ研修では地域と連携方法を学ぶ項目を取り入れてほしい」と県に求めた。

■28日まで本年度受講者募集

 県は28日まで、本年度のふじのくに防災士養成講座の受講者を募集している。受講期間は8~11月で、必修の座学のほかに、任意履修の避難所運営ゲーム(HUG)などの実習がある。必修科目の8割以上を受講すると知事認証が受けられる。

 平日を主体とするAコースと、休日中心のBコース、オンラインのCコースがある。Bコースは定員に達したが、AとCは募集中。地震、風水害、原子力防災など幅広い分野の科目があり、気象庁「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の平田直会長らが講師を務める。問い合わせは県地震防災センター<電054(251)7100>へ。