「軽便っこ」水墨画で表現 92歳の画家が仙台で作品展 宮城・利府の児玉さん 仙台鉄道の全線モチーフに

AI要約

宮城県利府町の画家児玉泰隆さんが描いた軽便鉄道「仙台鉄道」の水墨画展が仙台市で開催中。素朴な味わいの作品が展示される。

児玉さんはかつて仙台鉄道を利用し、地域に親しまれた「軽便っこ」の活気を描く。写実的な水墨画で当時の風景を再現している。

絵画展には多くの来場者が訪れ、仙台鉄道に関心を持つ人々が増えている。児玉さんは乗車した記憶を絵で伝えることに喜びを感じている。

「軽便っこ」水墨画で表現 92歳の画家が仙台で作品展 宮城・利府の児玉さん 仙台鉄道の全線モチーフに

 宮城県利府町の画家児玉泰隆さん(92)が描いた軽便(けいべん)鉄道「仙台鉄道」の水墨画展が、仙台市泉区役所1階ロビーで開かれている。大正末期から戦後にかけて、仙台市と大崎市古川を結んでいた鉄道の全線をモチーフとした素朴な味わいの30点が並ぶ。

 当時の国鉄仙山線と立体交差する列車や亜炭を積み込む大衡駅(宮城県大衡村)、列車が鳴瀬川鉄橋(同県加美町)を渡る風景などを題材に、地域に親しまれた「軽便っこ」の活気のある姿を描いた。

 富谷市出身の児玉さんは通学のため、1945~50年に仙台鉄道を利用していた。かつては色鉛筆や水彩などで描いていたが、近年は水墨画が多いという。

 「体力が落ちたので写真がモノクロだった時代と同じようにした。あの時代を知る人なら、きっとカラーのように見えると思う」と児玉さんは笑う。

 同じ会場では5月末まで、泉区内を走る仙台鉄道を描いた児玉さんの作品を集めた絵画展が開かれていた。来場者から「富谷以北の様子も見たい」との要望が多数寄せられ、絵画展を企画した同区の元団体職員大友誠さん(66)が「続編」につなげた。

 来場者が熱心に作品を見る光景を目にした児玉さんは「仙台鉄道に関心を持つ人が多くてうれしい。自分が乗った記憶を絵で伝えていきたい」と語る。

 仙台鉄道は1922(大正11)年開業。29(昭和4)年に通町―中新田(現JR西古川)駅間で全線開通した。豪雨災害などのため60(昭和35)年に全線廃止となった。

 水墨画展は7月26日まで。平日午前8時半~午後5時。入場無料。連絡先は泉区まちづくり推進課022(372)3111。