オーナーは敬虔な仏教徒 チェンマイのリゾートのセンスに驚く

AI要約

チェンマイの隠れ家ホテル「ザ・インサイド・ハウス」は、オリジナリティあふれる14室のプールスイートを持つ白いコロニアル調のリゾート。経営者Teaのストーリーや瞑想を取り入れた従業員教育が注目される。今後は、プール付きのウェルネス分譲住宅を建設する計画も。

Teaの生い立ちやビジネス経歴、瞑想への関心、社員に対する瞑想コース提供などが紹介され、ホテルの独自性とブランディング手法に焦点が当てられる。

チェンマイへの直行便が増加する中、幸せや健康を追求するリトリートを求める人々にとって、インサイド・ハウスは魅力的な選択肢となっている。

オーナーは敬虔な仏教徒 チェンマイのリゾートのセンスに驚く

グローバルブランドの五つ星ホテルは、スタイリッシュでラグジュアリー。だけどなんとなく味気ないし、飽きも来る。パターン化されていないオリジナリティがあり、「また帰りたい」と思うホテルはそう多くない。

チェンマイの隠れ家ホテル「ザ・インサイド・ハウス」。タイ第二の都市の街中にあって14室のプールスイートを有する、白いコロニアル調のリゾートだ。コンセプトは「Happiness comes from inside」。トリップアドバイザーやブッキングコムなどの宿泊予約プラットフォームで軒並み高い評価を獲得している。

傑出した空間やサービスに惹かれて取材を申し込むと、インタビューに応じたのは意外にも40代半ばの知的で敬虔な仏教徒の男性だった。創業者である彼のストーリーには、深い思想と社員育成のヒントが隠れていた。

悩みから解放された瞑想体験オーナーの​​​​​​セッタユティ・クライラシリ(以下、Tea)は、バンコク北部で150室ほどのシティホテルを経営する中華系タイ人で、ファミリービジネスの2代目だ。​​​​​​タイ北東部の小さな町で生まれ、両親からは風水や旧正月の祝時など、多くの中国の慣習を受け継いで育った。

タイの名門チュラロンコン大学で金融・銀行学を専攻後、サウスカロライナ大学で国際ビジネスの修士号を取得。​​​​「本当は建築学を専攻したかったけれど、縁がなかった。両親からはビジネスを成長させ、裕福になることの大切さを教えられました。そんななかで私はしばしば空虚な気持ちになり、人生の意味を見つけることに興味を持つようになったのです」と振り返る。

タイは仏教国で、文化としても人々の生活に根付いている。経済界やエンタメ、スポーツ界のリーダーたちも多く瞑想に通うような環境下で、Teaも12年前からマインドフルネス瞑想の受講を始めた。彼が通う集中コースは、朝の4時半に起床し、日が暮れるまで、立ったり座ったり歩いたりの歩行瞑想と座禅を8日間続ける厳しい修行だという。

瞑想に励んでいるのはTeaだけではない。インサイド・ハウスでは、従業員も瞑想コースに参加しているというのが印象的だった。その時間は、勤務日としてカウントされているという。

「社員50人ほどのうち、半数以上が瞑想コースを受講しています。2泊3日のコースと7泊8日の集中コースがあり、10人以上が集中コースの方に参加しています」

リゾート創設のストーリーやコンセプトが浸透していると、社員が強要されることなく、自らそれに即した行動を起こす。インサイド・ハウスはブランディング的にも、理想的な社員教育のモデルに映る。

この先Teaが取り組みたいのは、チェンマイにプール付きのウェルネス分譲住宅を建てることだ。

「従来のレジデンスとは異なる空間、アート、デザインのセンスが備わったもの。健康で平穏な生活を送ることに主眼を置いているので、それが可能な暮らしの場をつくりたい。実現のためにもできるだけ瞑想のコースに通って、自分自身や他人、自然を本当の意味で理解したい。そして真に幸せで、自由でありたいと思っています」

日本からは関西からの直行便が週に4便就航するようになったチェンマイ。幸せを見つめ直せるリトリートは、そう遠くはない。