ゲームやYouTubeを取り上げてはいけない…「頭のいい子」を育てるために親が子に繰り返すべきフレーズ

AI要約

小児科医の成田奈緒子さんによると、「頭のいい子」を育てるには、子供の自由な発想を尊重し、親が受け入れることが重要だ。

読書や勉強させるだけでなく、親が子供の思考を引き出すことが前頭葉の発達に役立つ。

親が否定せず、子供の言葉を尊重し、安心感を与えることで、子供の思考が育まれる。

「頭のいい子」を育てるには、どうすればいいのか。小児科医の成田奈緒子さんは「読書や勉強させればいいわけではない。子供の自由な発想を否定せず、親が受け入れることが重要だ」という――。

 ※本稿は、成田奈緒子『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■「読み聞かせ」や「読書」に対する誤解

 「国語能力を高めたいなら、本を読ませるのが一番だろう」

 このように考える方は多いでしょう。確かに、本は子供の言語能力を発達させます。小さいときからぜひ、たくさんの本に触れさせたいものです。

 ただし、その方法を誤らないように注意してください。「本を読みなさい」とうるさく言うのは逆効果です。義務だと思ったとたん、子供は読書を苦行だと誤解し、本を敬遠するでしょう。

 本に触れさせたいなら、親自身が読書を楽しみ、家のなかに自然に本がある環境をつくるのがベターです。

 そしてもう一つ、読書にまつわる「誤解」があります。

 親が読み聞かせるにせよ、子供がひとりで黙読するにせよ、読書中には前頭葉は働きません。読書中の子供の脳波を測ると、活性化するのは視覚を司る後頭葉(こうとうよう)、言語能力を司る側頭葉(そくとうよう)、そして「からだの脳」に相当する大脳辺縁系のみです。

 読書は「ただ読む」だけではなく、書かれたことについて思考を巡らせることに意義があります。子供の思考を促す言葉がけを工夫しましょう。

 読書中、文字を追っている間は働かない前頭葉も、ふと本から目を上げて反芻(はんすう)したり、本を閉じた後に内容を振り返って考えをまとめようとするときには急激に活性化します。ですからこの場面でも、親が子供の思考を「引き出す」働きかけが有効です。その具体的な方法をお話しします。

■子供の言葉を引き出す働きかけ

 前頭葉を育てるには、「考えさせる」ことと、その考えを言葉にして「外に出させる」ことが不可欠です。

 子供の言葉を引き出すことは、親にできる最大のサポートです。

 こう言うと、よく親御さんからは「もちろん心得てます! 私、子供にしょっちゅう問いかけています」という答えが返ってきます。しかしその問いかけが、本当に子供自身の言葉をひき出せているかどうかには疑問符がつきます。

 教育熱心な親御さんは確かに、「お勉強的」な問いかけはさかんにされています。例えば、「お空はなんで青いんだと思う?」など。

 それ自体はもちろん、悪いことではありません。しかし親のなかの「学んでほしい」「賢く育ってほしい」という願望が強すぎると、子供に「いい答えを出さなくては」という、無言のプレッシャーを与えてしまいます。実際、期待に沿わない答えだったときに、それを正そうとする親御さんもいます。

 それでは前頭葉は育ちません。大事なのは、子供の自由な発想を促すことです。そのために忘れてはならないのが、「否定しないこと」。

■否定されない安心感が大事

 たとえば、昔話の「桃太郎」のお話を聞かせた後に、その内容について問うとします。

 このとき子供は「正答」を言うとは限りません。「おばあさんはどこに行ったんだったかな?」と聞いて、「鬼ヶ島に行った」などと答える子はいくらでもいます。

 そんなとき「違うでしょ」と言ってはいけません。間違ってもいいから、とにかく言葉を出させること。特に乳幼児の場合は、それが鉄則です。

 正解か否かは重要ではありません。言葉を出そうとするときに前頭葉が著(いちじる)しく活性化することに意味があるのです。

 ですから「そうかぁ、おばあちゃん、鬼ヶ島行ったんだ~」「面白いねえ」という風に、楽しくあいづちを打てばいいのです。

 ほかの場面も同じように自由に話させて、原型をとどめない「新しい桃太郎」が創出されていくのも面白いのではないでしょうか。

 誤りを正さず、かといって「素晴らしいわね」などと褒めそやす必要もなく、ただ「それが君の発想なんだね」と受け止めましょう。

 否定されない安心感のある場で、思いつきをどこまでも言葉にしながら、子供のこころの脳はぐんぐん育っていきます。