そもそもワインってどんなお酒?フィガロワインクラブがお届けする、ワイン初心者のための特別講義!
ワインは8000年前にコーカサス地方で誕生し、エジプトやヨーロッパ、新大陸に広がっていった
ワイン造りは簡単だが、おいしいワインを造るのは難しい。ブドウ品種や環境の違いが多様なワインを生み出す
現代の世界で最も代表的な10種類のブドウ品種を知ることで、ワイン選びが楽になる
フィガロワインクラブの大人気試飲セミナー「ワイン基本のキ」。イベント内での解説を講義録としてアーカイブしていきます。第1回は序論、「そもそもワインとは?」。講師、講義録の監修はワインジャーナリストの柳忠之さん。
ワインとはブドウから造られたお酒のこと。いまから8000年ほど前、アジアとヨーロッパの境界線にあたるコーカサス地方、いまのジョージアあたりで誕生したとされる(諸説あり)。
ワイン造りの文化はエジプトに渡ると同時に植民地にも広がり、紀元前3000~2000年頃にはギリシャ、紀元前1000年頃にイタリアや北アフリカ、それから500年かけてスペイン、ポルトガル、南フランスへと広がっていった。
ヨーロッパ人の入植により、ワイン文化はアメリカ新大陸やオーストラリア、ニュージーランドにも伝播する。しかし本格的なワイン造りは、優良なブドウ品種が導入されるようになった19世紀半ば以降のこと。日本でも明治初期の殖産興業の中、ワイン造りが開始された。
簡単に言えば、「誰でも簡単に造ることができる」から。ブドウを潰して放置すれば、環境中の酵母の働きによって自然に発酵というプロセスが始まり、酵母はブドウの果汁に含まれる糖分をアルコールと二酸化炭素に分解していく。それを搾れば、ワインが出来上がるのだ。
ただし、「おいしいワイン」を造るのは簡単ではない。ブドウを潰して自然発酵させるだけでは、酒にならず酢(ワインビネガー)になってしまう確率の方がはるかに高い。人類はおいしく安全なワインが飲めるよう、さまざまな研究を重ねてきた。それは近代、エノロジー(醸造学)という学問として確立されている。
百貨店やスーパーのワインコーナーで戸惑ってしまうのは、ワインの種類が多すぎるから。世界でどれくらいの種類のワインが出ているのか、正確な数字が出せないほどだ。それらは主に次の3つの要因がある。
●ブドウ品種の違い
●気候や土壌などブドウを育てる環境の違い
●ブドウを育て、それをワインにする造り手の違い
これらの中でいちばん違いがわかりやすいのが、ブドウ品種による違いだ。世界中には何千種類ものブドウ品種がある。しかし世界中で売られているワインの大半は、代表的な10種類程度のブドウ品種から造られている。つまり、10種のブドウ品種の特徴を知ってしまえば、日々のワイン選びで困ることはほぼなくなると言っていい。
【代表的な赤ワイン品種】
●カベルネ・ソーヴィニヨン
●メルロ
●ピノ・ノワール
●シラー
●グルナッシュ
【代表的な白ワイン品種】
●シャルドネ
●ソーヴィニヨン・ブラン
●リースリング
●ピノ・グリ
●ヴィオニエ
いくつか例外はあるものの、これら10品種は世界各地で栽培されている国際的なブドウ品種だ。(実際にはイタリアのサンジョヴェーゼ、スペインのテンプラニーリョのように、その国ならではの土着品種も...それはまた基本を抑えた後で! )